2018 Fiscal Year Research-status Report
クチクラ強化による種子の長寿命化メカニズムの解明と応用
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18K05447
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
大島 良美 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (00722951)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 種子 / クチクラ / 転写因子 / ダイズ / シロイヌナズナ |
Outline of Annual Research Achievements |
ダイズとニンジンの種子のクチクラを強化するため、種皮表面クチクラ合成酵素遺伝子のプロモーター下でクチクラ形成を制御する転写因子を発現するコンストラクトを作成した。ニンジンはシロイヌナズナ遺伝子のプロモーターを用い、ダイズ用にはダイズから相同遺伝子のプロモーターをクローニングした。ダイズの形質転換を外注した。ダイズの形質転換が成功した場合は種子を採取し、クチクラが高蓄積しているか、及び種子の劣化耐性を試験する。 種皮クチクラ形成メカニズムを明らかにするため、シロイヌナズナの種皮クチクラ形成の新規制御因子を探索した。既知の種皮クチクラ制御因子と相互作用する転写因子を転写因子のみのライブラリを用いた酵母ツーハイブリッド法により探索した。2次スクリーニングまで行った結果、約1900種類の転写因子の中から7転写因子を同定した。それらが種皮のクチクラ形成を制御するかどうかを調べるため、転写活性化因子についてはキメラリプレッサー発現植物を、転写抑制因子については過剰発現とキメラアクチベーター発現植物を作成した。今後はT2種子が癒着するかどうか、また電子顕微鏡を用いて表面構造が変化しているかどうかを観察し種皮クチクラ形成に関与する転写因子を同定する。 種子劣化耐性強化に必要なクチクラの特徴を明らかにするため3つのMYB転写因子によって誘導された種皮クチクラを比較した。そのうち1つの転写因子のキメラアクチベーター発現種子は撥水性が高いクチクラを蓄積していた。今後は種子劣化との関連を明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニンジンの形質転換を担当するスタッフが交代したため、形質転換がうまくいかない。 培養系は担当者によって形質転換効率が変化するので、慣れるまで時間がかかる場合があるのはやむを得ない。
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Strategy for Future Research Activity |
ニンジンは形質転換が可能になり次第、種皮クチクラ強化を試みる。ダイズは形質転換が成功したらクチクラ及び種子劣化の形質を評価する。 種皮クチクラ形成メカニズムについては、既知の制御因子と相互作用する因子の候補を7転写因子得ているので、それぞれに対するキメラリプレッサーまたはキメラアクチベーター発現シロイヌナズナを用いて種皮クチクラとの関連を明らかにする。同定した因子の機能から、種皮クチクラ形成の制御メカニズムを明らかにする。 どのタイプのクチクラが種子劣化耐性に重要かを明らかにするため、既知のクチクラ形成関連転写因子が誘導する異なるタイプのクチクラを蓄積した種子を劣化試験により評価する。これらのクチクラの成分を明らかにする。 以上により種皮クチクラにより種子劣化耐性を付与するメカニズム解明を試みる。
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Causes of Carryover |
ニンジンの形質転換が担当者交代のため遅れている。培養系は担当者によって形質転換効率が変わるため、慣れるまで時間を要することはやむを得ない。2019年度以降、形質転換可能になったタイミングで実施する。 ダイズ形質転換体の納品時期が2019年度以降になるため、納品時に支出する。
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