Study on biological mechanism of anti-bolting compound

2020 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 18K05448
• Research Institution: Hokkaido University
• Principal Investigator: 松浦 英幸 北海道大学, 農学研究院, 教授 (20344492)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 三井 裕樹 東京農業大学, 農学部, 准教授 (40613138) ; 柏木 純一 北海道大学, 農学研究院, 講師 (60532455)
• Project Period (FY): 2018-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: bolting / anti-bolting / Raphanus sativus / Arabidopsis thaliana

Outline of Annual Research Achievements

植物の生態型には一年生、冬一年生および多年生などがある。冬一年生植物は夏に発芽し、越冬後の春に急激な花茎の伸長（抽台）を呈する。よって、秋の栄養成長期間中の抽台は厳密に抑制されなければならない。ダイコン、シロイヌナズナの抽台抑制機構に関しては低分子生理活性物質の関与が示唆されているが、その作用メカニズムは不明な点が多い。ダイコン、ニンジンなど作期中に抽台が生じると、食する部分である栄養貯蔵部の品質劣化となり好ましくない。よって、人為的な抽台抑制が可能であれば実農業上、有益な技術となる。本研究では以上の未解明な点を明らかとし、環境条件によって制御される植物の抽台抑制機構を明らかとする事を目的とした。また、抽台抑制物質の化学構造をもとに、実農業で利用可能な抽台抑制活性を有する植物化学調節剤の開発にむけた学術基盤を構築するため研究を進めた。
抽台を抑制する化合物の作用メカニズムに関してはジベレリンの生合成に影響を与えることが判明した。具体的にはジベレリン生合成上流に位置し、本化合物の生合成に必須なタンパクをコードするエントカウレンオキシダーゼ遺伝子の発現抑制および、本化合物を不活性体に代謝するタンパクをコードする、ジベレリン-2-ベータジオキシゲナーゼ 1遺伝子の発現促進の両方の活性を有することが明らかとした。
植物化学調節剤の開発にむけた学術基盤の研究として、より簡易な構造を有し、上記のジベレリン生合成に影響を与える活性を有することを条件に抽台抑制化合物として発表のある、2,3-dihydroxypropyl (7Z,10Z,13Z)-hexadeca-7,10,13-trienoateの構造活性相関研究を行い、ほぼ同様な活性を有する、2,3-dihydroxypropyl (9Z)-octadec-9-enoateの取得に成功した。また、圃場実験にむけての大量合成も達成した。