2020 Fiscal Year Research-status Report
植物ホルモン受容体の過剰発現による植物免疫促進機構の解明とその応用研究
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18K05453
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
中村 英光 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40724191)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ストリゴラクトン / 植物免疫応答 / 受容体 / いもち病 / 植物ホルモン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに行ったRNAseqの結果、OsD14はある種の遺伝子発現を正に制御することが示唆された。OsD14過剰発現態で遺伝子発現が上昇している遺伝子群(DEGs)を詳細に解析してみると、病原菌の分泌するエフェクター因子を認識して植物に病原菌耐性を付与する受容体をコードする多数のR遺伝子発現が上昇していることや、サリチル酸やジャスモン酸の糖付加酵素の遺伝子発現が上昇していることが見出された。OsD14ox vs 野生型、OsD14 vs d14、野生型 vs d14の3つの比較解析の結果、いずれにおいても発現上昇している33のDEGsが存在していた。その中に、R遺伝子も存在していた。これらの結果は、D14過剰発現による病害抵抗姓誘導の機構解明の糸口となることが期待されるため、今後詳細に解析していくこととした。 本年度はこの33遺伝子について、遺伝子発現変動を詳細に解析することを計画した。特に、いもち病菌を感染させる前と感染させたあとの遺伝子発現変動を調べることを目的とした。上位5つの遺伝子について過剰発現体で発現が上昇していることを確認できた。しかし、いもち病感染前後の変動については、条件検討の段階でとどまり、その変動を確認できていない。これらの遺伝子の過剰発現体を作出中である。また、他の遺伝子については今後解析していく。また、D14と他の因子との直接的なタンパク質タンパク質相互作用について酵母ツーハイブリッド法を用いて解析したところ、いくつかのホルモンシグナル伝達因子との相互作用を検出した。今後、このホルモンとストリゴラクトンとのクロストークについても解析していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度の前半は大学の活動制限レベルが上がり、実験ができない状況にあった。レベルが下がった後も、担当しいた学生が感染の不安から体調を崩し通学できない状況になってしまい、研究の進展が大きく滞ってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度までに行ったRNAseqにおける、OsD14ox vs 野生型、OsD14 vs d14、野生型 vs d14の3つの比較解析の結果、いずれにおいても発現上昇していた33の33遺伝子について、遺伝子発現変動を詳細に解析する。特にいもち病菌を感染させる前と感染させたあとの遺伝子発現変動を調べる。いくつかの遺伝子については過剰発現形質転換体を作出すると同時に、ゲノム編集によるノックアウト株の作成も試みる。また、配糖体も含めたSAやJAの内生量も調べる。配糖体化酵素遺伝子のノックアウト株の作出にも着手する。さらに、昨年度発見した、D14と他の因子との直接的なタンパク質タンパク質相互作用についても詳細な解析を継続する。ホルモン間相互作用についても検討する。
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Causes of Carryover |
今年度は前半は大学の活動制限レベルが上がり、実験ができない状況にあった。レベルが下がった後も、担当しいた学生が感染の不安から体調を崩し通学できない状況になってしまい、研究の進展が大きく滞り、未使用額も多くなった。次年度は今年度実施予定だった、RNAseqで遺伝子発現変動が大きかった遺伝子の遺伝子発現変動を詳細に解析するとともに、いもち病菌感染前後の遺伝子変動についてもRNAseqを行い網羅的に解析する。
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