2018 Fiscal Year Research-status Report
多アシル化アントシアニンの合成と青色花色発現に関与する超分子金属錯体の機能解析
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18K05457
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
尾山 公一 名古屋大学, 物質科学国際研究センター, 技師 (80402460)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 多アシル化アントシアニン / 青色花色発現 / 超分子金属錯体 / ミリセチン / 相関移動触媒 / グルコシル化反応 / ケルセチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、多アシル化アントシアニンの効率的かつ自在な合成法を確立した後、多アシル化アントシアニンが関与する青色超分子金属錯体形成反応の分子認識機構の解析実験などを行って、多アシル化アントシアニン機能を明らかにすることを目的としている。本年度は、主にアントシアニンの前駆体となるフラボン誘導体の合成研究を2つのアプローチで行った。まず、B環に2つのヒドロキシ基を持つアシル化アントシアニンの前駆体となるアシル化ケルセチン配糖体を安価で入手の容易なルチンから合成した。これは、ルチンの3位の糖を酸加水分解した後、相関移動触媒を用いたグルコシル化反応とアシル化反応を行って合成した。次に、ツユクサの青色超分子金属錯体色素に含まれる多アシル化アントシアニンのマロニルアオバニンとキキョウの青色を担う多アシル化アントシアニンのプラチコニンの共通の前駆体ユニットとなるミリセチン誘導体の合成をフロログルシノールを出発原料に用いて行った。この合成ターゲットのミリセチン誘導体は、B環のヒドロキシ基が全てベンジル化され、3位、5位、7位に遊離のヒドロキシ基を持つものを分子設計した。保護基にMOM基を用いて、ベーカー・ベンカタラマン転位経由のβ-ジケトンルートを使用することにより目的のミリセチン誘導体の合成法を確立した。3位、5位、7位への位置選択的グルコシル化反応を行うことで、マロニルアオバニンおよびプラチコニンのいずれの多アシル化アントシアニンへも誘導可能である。現在のところ、このミリセチン誘導体に過剰量のブロモグルコースを用いた相関移動触媒によるグルコシル化反応を行うと、ミリセチン 3,7-ジグルコシドが合成できることを確認している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ツユクサの青色超分子金属錯体色素に含まれる多アシル化アントシアニンのマロニルアオバニンとキキョウの青色を担う多アシル化アントシアニンのプラチコニンの共通の前駆体ユニットとなるミリセチン誘導体の合成法を確立し、アントシアニンの多様性指向型合成の基盤が整った。さらに、アントシアニンの前駆体として、アシル化ケルセチン配糖体とミリセチン 3,7-ジグルコシドの合成も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ミリセチン誘導体を用いてグルコシル化反応、アシル化反応、アントシアニンへの変換反応を検討し、まずは、ターゲット化合物の一つであるプラチコニンの全合成の達成を目指す。また、ESI-MSによる多アシル化アントシアニン及び超分子金属錯体色素の分析方法の検討も行う。
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Research Products
(7 results)