2020 Fiscal Year Research-status Report
複素環の発光プローブ誘導化を指向したインドールテルペン類天然物の合成研究
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18K05460
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
谷本 裕樹 富山大学, 学術研究部薬学・和漢系, 准教授 (00581331)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 天然物合成 / クライゼン転位 / インドールテルペン / ラジカルカップリング / 分子力場計算 / クリック反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度では、初年度の合成経路を改良した。具体的には、入手容易な(R)-プレゴンを出発原料とすることでグラムスケールでの大量合成が可能な合成経路を確立、その後、クライゼン転位等を経て合成した前駆体を用い、インドールメチル基導入を伴う第4級炭素中心構築を検討し、種々の検討の結果、第4級炭素の構築には成功したが立体異性体の分離が困難であったことから、その分離と立体化学の決定が必要となり、さらなる経路の検討などをする必要があった。 しかしこの年度終了の付近からCOVID-19による影響が顕在化し、前年度3月から5月程度まで研究室が閉鎖となり、研究が完全に停止した。さらに前所属の任期が1年を切ったことから研究環境と体制の大幅な縮小が課せられ、研究の進展が殆ど見られなかった。 幸いにして9月より現所属に着任となり、研究が継続可能な環境は整ったものの、セットアップに大きな労力を割いたことから、予定していた計画はほとんど行えなかった。しかし、合成に用いたクライゼン転位での生成物の選択性については議論の余地があり、実地での実験化学とは異なり計算化学的な解析は可能であったことから、Gaussian09を用いてその配座解析から、説明が可能な結果を得ることができた。これによりある程度まとまった成果を出せる段階となったことから、延長した最終年度での論文化に向け、検討とデータ整理を行っている。 一方、将来の誘導体とその標的組織の解明のため、生物活性物質と蛍光性部位や標識化合物を連結する技術も必要となることから、そのクリック反応技術も並行して開発した。その結果、立体障害を一切利用することなく多成分を連結する技術を開発することができ、生物活性への影響を極限まで減らすことができると期待される。本成果についても現在準備中であり、最終年度中に投稿する。また、前年度に報告した典型元素誘導体に関する論文は投稿・受理された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
概要で記したとおり、この年度終了の付近からCOVID-19による影響が顕在化し、前年度3月から5月程度まで研究室が閉鎖となり、研究が完全に停止した。さらに前所属の任期が1年を切ったことから研究環境と体制の大幅な縮小が課せられ、研究が殆ど進められなかった。9月より新たに現所属に着任となり、研究が継続可能な環境は整った。また、COVID-19の影響が少ない計算化学的な解析は可能であったことから、Gaussian09を用いて結果を得ることができた。延長した最終年度での論文化に向け、検討とデータ整理を行っている。 以上のように、COVIDと任期の二つの点から大幅な遅延を余儀なくされた。しかし、異動と計算化学による結果から、スムーズな推進が期待できるようになった。さらに、目的とする天然物やその合成誘導体の作用機序解明のため機能集積化技術の開発と技術の蓄積も順調に順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
計算化学を中心とした立体選択性の解明や第4級炭素中心構築について更なる解析を行い、その成果をもって論文投稿を行う。また、クリック反応についても同様に実験化学と計算化学を併用することで、合成天然物の作用機序解明に利用可能な技術の確立を進める。
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Causes of Carryover |
研究の進捗状況に合わせた機器購入を計画していた。一部は異動に合わせて機器導入を行ったが、COVID-19感染拡大の影響による2020年度の研究の進行具合を考慮し、さらなる備品ならびに消耗品購入を次年度に見送ったことから次年度での使用額が生じた。
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Research Products
(6 results)