2019 Fiscal Year Research-status Report
Highly Efficient Synthesis of ADP-Ribosylated Peptides by Protecting Group Free Segment Coupling Methods
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18K05461
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
田中 秀則 岐阜大学, 高等研究院, 助教 (20725064)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ADPリボース / 無保護合成 / ピロリン酸 / ADPリボシル化ペプチド / N-グリコシド化 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、リン酸活性化剤である置換基導入型ImIm塩を用いることで、モノADPリボースの無保護合成を中程度の収率で達成した。本年度は、オリゴADPリボシル化ペプチド合成のために、5',5''-ジリン酸化リボシルアデノシンビルディングブロックの合成を実施した。既知合成法に従い、リボース二糖供与体をアデニン受容体とのN-グリコシド化反応に供したが、目的とするリボシルアデノシンを再現良く得ることが出来ず、複数のN-グリコシド位置異性体が副生する結果となった。そこで、N-グリコシド化後の位置異性体を含む反応混合液に酸を加えることで目的物への異性化を試みたところ、予想通り反応は進行し、目的のリボシルアデノシンを主生成物として得ることに成功した。その後、5'位および5''位にそれぞれ異なる保護形式のリン酸基を導入することで、5',5''-ジリン酸化リボシルアデノシンビルディングブロックを合成できた。現在は、本ビルディングブロックの大量合成を進めている。 また、天然に存在するタンパク質に付加したポリADPリボース鎖には分岐構造があるため、ポリADPリボース鎖の分岐構造骨格構築法を開発することも試みた。2位水酸基に着脱可能な適切な保護基を導入したリボース供与体を用いることで、既存合成法の段階数を半減できるだけでなく、総収率も大幅に改善した新たな合成法を確立した(論文投稿準備中)。現在、分岐型オリゴADPリボシル化ペプチド合成を見据え、5',5'',5'''-トリリン酸化ジリボシルアデノシンビルディングブロックに挑戦している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度において、申請者が過去に報告したImIm-Cl(Angew Chem Int Ed. 2012)のイミダゾール部に置換基を導入することで、より効率的なリン酸ヘテロカップリングが実現でき、ADPリボースの無保護合成に成功した。当初の計画では、本年度は導入した置換基のファインチューニングをする予定であったが、昨年度見出した置換基導入型ImIm塩で満足いく収率でピロリン酸結合形成ができるため、研究計画の予定を変更した。すなわち、合成標的をこれまで報告例のないオリゴADPリボシル化ペプチドに設定し、本年度は本合成に必要な5',5''-ジリン酸化リボシルアデノシンビルディングブロック合成に成功した。また、既存合成法を遥かに凌ぐ、新たなポリADPリボース鎖の分岐構造骨格構築法の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに得られた成果を基にして、世界初のオリゴADPリボシル化ペプチド合成を推進する。本合成を達成するため、先ずは、保護基フリー液相セグメント連結法を用いてモノADPリボシル化アミノ酸・ペプチド合成を実施する。そして、合成難易度が極めて高いオリゴADPリボシル化ペプチド合成に挑戦する。
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Causes of Carryover |
本年度は、オリゴADPリボシル化ペプチド合成において必要なビルディングブロック合成に注力したため、予定していたHPLC関連物品の購入を控えた。そのため、次年度繰越金が生じた。
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Research Products
(5 results)