2018 Fiscal Year Research-status Report
アルコキシメチル基を利用する立体選択的グリコシル化の開発と全合成への応用
Project/Area Number |
18K05462
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鳥飼 浩平 九州大学, 理学研究院, 助教 (20456990)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | グリコシル化 / 1,2-trans / アルコキシメチル基 / 隣接基関与 / ワンポット / 糖 / 天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖鎖は生体内で重要な機能を担っているが,その単離・生成が困難であるため純粋な糖鎖の供給には精密化学合成が不可欠である.本研究では糖と糖をつなぎ合わせる際,糖供与体の2位ヒドロキシ基の保護基としてアルコキシメチル基を用いれば,1,2-trans選択的にグリコシル化反応が進行し,さらには従来用いられてきた2-O-アシル供与体より高い反応性を示すのではないかと考え,これを検証すべく研究を推進した. まず糖供与体として1位にフェニルチオ基を,2位ヒドロキシ基の保護基としてメトキシメチル(MOM),ベンジルオキシメチル(BOM),および2-ナフチルメトキシメチル(NAPOM)基を有するグルコース誘導体を選択し,さまざまな糖受容体とのグリコシル化反応を試みたところ,3, 4, 6位ヒドロキシ基の保護基にかかわらず,またアルコキシメチル基(MOM, BOM, NAPOM)の種類に依らず,全て望むβ選択性で反応が進行することがわかった.この方法はガラクトース型の糖供与体や,脱離基としてフェニルチオ基の代わりにフルオロ基やトリクロロアセトイミデートを有する糖供与体に対しても適用できる,汎用性の高いものであることが分かった. 2-O-アルコキシメチル保護糖供与体に対するグリコシル化が高いβ選択性で進行することが明らかになったので,続いて2-O-アシル保護糖供与体と反応性を比較した.その結果,2-O-アルコキシメチル保護糖供与体は,2-O-アシル保護体よりも高い反応性を示し,よりarmedであることが明らかになった.この反応性の違いは予想以上に大きかったため,当初の計画にはなかったが,この性質を利用したワンポット連続グリコシル化反応を検討した.その結果温度を変えるだけでグリコシル化反応の順序を制御できるワンポット3糖合成法を開発することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初1年半程度をかけて行う予定であった2-O-アルコキシメチル保護糖供与体の基質適用範囲の調査を半年程度で終えることができた.さらに当初予定にはなかったワンポット連続グリコシル化反応まで開発でき,研究開始1年以内に論文1報をOrganic Letters誌に発表することができた.これらのことから,計画を大幅に上回るペースで研究が進展していると評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は計画通り,糖供与体上の様々なヒドロキシ基にアルコキシメチル基を導入し,それらがグリコシル化の立体選択性に及ぼす影響を順次確認していく.また全合成への応用研究も推進する.
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Research Products
(12 results)