2018 Fiscal Year Research-status Report
見過ごされていた立体選択的反応の開発を起点とする薬剤耐性菌克服に関する研究
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18K05465
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture |
Principal Investigator |
矢島 新 東京農業大学, 生命科学部, 教授 (30328546)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生物活性物質 / 全合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では新規な3つの立体選択的反応を開発することを初年度の第1の仮題として設定していた。1)まず、不斉ジヒドロキシ化による立体選択的ヒドロキシ基の導入と炭素鎖伸張法の開発においては、末端にヨウ化ビニル部位を有する化合物の不正ジヒドロキシ化を検討した。その結果、ヨウ化ビニル部位の構築に関して高いトランス選択的な反応条件を見いだすことができた。次に、合成した末端ビニルヨージドに対してSharpress不斉ジヒドロキシ化、続いて生じたアルデヒド基に対する炭素鎖の伸長反応は円滑に進行し、非常に高い鏡像体純度を有するアリルアルコール類を合成可能であることを示すことができた。続いて、本反応の基質一般性および立体選択性について明らかにすることができた。2)次に、α-リボフラノシドの立体選択的合成法の開発については、リボース5位にアシル基を導入した基質を用いることにより、その置換基効果が期待通りに働き、簡便な操作によるα-選択的リボフラノシド合成法を確立することができた。特に5位にPiv基を導入した基質は合成収率、立体選択性共に満足のいくものであった。ただし、5位Piv基を持つ基質では、続いて検討すべきamphidinin類の全合成研究において脱保護に問題を抱えることになることが予想されることから、脱保護条件の検討を行っている。 また、開発した反応を用いていくつかの天然物合成について検討を重ねており、いくつかの問題を抱えた段階を克服すれば全合成を達成可能であるという知見をえることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定では、酵素を用いた光学分割により既知のケトンから容易に調製可能なラセミ体のヒドロキシエステルを分子の左右で酸化段階が異なる、かつてなかった便利な分子を創製することを目指していた。しかしながら酵素反応の立体選択性が必ずしも十分ではないことから、さらなる反応条件の検討を要する。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、酵素反応について様々な酵素、反応条件のスクリーニングを行い、最適な条件を探索する。次に、開発に成功した2つの反応を用いてpeniciacullin類およびamphidinin類の全合成に着手する予定である。
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Causes of Carryover |
反応開発において当初想定したよりも円滑に研究が進捗したことから消耗品の購入が予定よりも少なかったため。次年度は開発した反応を基に天然物の全合成研究に着手するため、当初の計画よりも増額した研究費が必要となることが見込まれる。
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