2019 Fiscal Year Research-status Report
複合フラボノイド生合成に関わるP450型プレニル基環化酵素遺伝子の探索
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18K05467
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
明石 智義 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (80328707)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フラボノイド / シトクロムP450 / マメ科植物 / ファイトアレキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
1)P450型プレニル基環化酵素のクローニング マメ科植物のファイトアレキシンの中にはフラボノイド骨格にC5イソプレン単位が付加し,環状エーテルを形成した特有の構造を持つものがある.このようなフラン複素環やピラン複素環の形成にはシトクロムP450 (P450)が関与すると想定されているが,これまで遺伝子の実体は不明である.ダイズではファイトアレキシンとしてグリセオリン I,II,IIIが知られ,その生合成には反応様式の異なる3種のP450型プレニル基環化酵素が存在すると考えられる.昨年度はグリセオリン I生合成に関わるプレニル基環化酵素cDNA (GmP450-1)を同定した.昨年度と同様にダイズの遺伝子データベースから既知のグリセオリン合成系遺伝子と共発現関係にある候補P450遺伝子を選抜した.候補cDNAを酵母で発現させ,ミクロソーム画分を用いて酵素アッセイを行うと,1つのP450 (GmP450-2)がプレニル化グリシノールの環化反応を触媒し,グリセオリン IIIの生合成に関わる酵素であることがわかった. 2)クメストロール生合成遺伝子の同定 ダイズではグリセオリンとともに,プレニル化クメストロールがストレスにより蓄積する.クメストロールについては,生合成機構や関与する酵素は不明な点が多く,その解析を行った.ダイズからイソフラベン合成酵素 (I3S) cDNAをはじめて同定した.ダイズ粗酵素液とイソフラベンをインキュベートするとクメストロール及び未知の物質が生成し,イソフラベンからI3S反応を経て生合成されることがわかった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにダイズから2種のプレニル基環化酵素cDNAのクローニングに成功している.またクメストロールの生合成機構の概要が明らかになり,今後のプレニル化クメストロールの生合成解析に向けて概ね順調に成果を得ることが出来たと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
GmP450-1, GmP450-2について,今後反応速度などの酵素学的性質を明らかにする.また残りの1つのP450の遺伝子クローニングを試みる.また取得した遺伝子を過剰発現または抑制した組換えダイズ毛状根を作成し,導入遺伝子による成分変化や形態の変化を調べる.
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