2019 Fiscal Year Research-status Report
乳児消化管での栄養吸収および腸内細菌定着に対する細胞内消化の重要性の解明
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18K05474
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大島 健司 名古屋大学, 生命農学研究科, 助教 (90391888)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乳児栄養 / ラクトフェリン / 細胞外小胞 / 消化管 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳児栄養の消化・吸収機構を理解することは、乳児の発育だけでなく、免疫関連疾患や代謝関連疾患など生涯の疾病リスクを管理する上でも重要である。乳中には抗菌タンパク質や乳オリゴ糖が豊富に含まれており、乳児期の腸内細菌叢形成に大きな影響を与えている。また一部の乳成分が乳児腸管を構成する細胞に直接作用することにより生理機能を発揮すると考えられているが、これらがどのようにして消化能力の未発達な乳児により吸収され、生理機能を発揮しているかの分子メカニズムは解明が進んでいない。 本研究では乳に豊富に含まれる多機能タンパク質ラクトフェリン(LF)に着目し解析を行なっている。これまでにマウス乳児消化管をモデル系として用い、LFの消化と吸収について、生化学的および組織学的解析を行った。その結果、乳児期でのLFの酵素消化は限定的で30-50kDaの断片として腸管内に残ることを明らかとした。乳児腸管は大人型腸管とは異なり経細胞輸送により大型分子を直接体内に取り込む性質を持つことが古くから知られており、主に形態学的解析により乳児型腸管は大人型腸管とは異なるエンドサイトーシス機構が存在し、細胞内輸送と細胞内消化が活発であることが示唆されている。腸上皮細胞によるLFのエンドサイトーシスは、生後の腸管発達に伴い変化することを示唆する結果が得られた。また乳児腸管発達に伴う細胞内プロテアーゼの相対発現変化を解析したところ、複数のカテプシンが乳児期で高発現していた。 また、乳にはマイクロRNAを含む細胞外小胞が多量に含まれていることが知られているが、その機能や腸管内の動態は不明である。これまでに、乳児消化管内での細胞外小胞の挙動解析を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳児腸管の発達に伴う細胞内プロテアーゼの発現変動、乳児消化管内で産生される乳タンパク質分解産物の同定、乳児消化管内での乳タンパク質と細胞外小胞の挙動解析について、研究計画に従って進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の進捗は計画通り順調であるため、次年度も申請した研究計画に則り遂行する。
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Causes of Carryover |
(理由)これまで機器を共同利用していた教員の異動に伴い、2020年度に新たに小型機器を購入する必要が生じたため、一部予算を次年度へ繰り越した。また、新型コロナウイルスにより学会が開催されなかったため、旅費の使用がなかった。 (使用計画)今年度以降も全体的な研究計画に変更はないため、次年度使用額と翌年度分請求助成金を合わせて執行していく予定である。
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Research Products
(2 results)