2023 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanism of the anti-inflammatory effect of acetylglucosamine
Project/Area Number |
18K05479
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
染谷 明正 順天堂大学, 医学部, 先任准教授 (90167479)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長岡 功 順天堂大学, 大学院医学研究科, 教授 (60164399)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アセチルグルコサミン / グルコサミン / 抗炎症作用 / 滑膜細胞 / 炎症性シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
アセチルグルコサミン(NAG; グルコサミンの構造類似体)は、グルコサミン(GlcN)とともに関節症状を緩和するサプリメントとして使用されている。GlcNは抗炎症作用を介して関節症状を緩和し、その分子メカニズムの解析も進んでいる。一方でNAGに関する研究はほとんどなされていない。本研究では、NAGの関節症状緩和作用について抗炎症作用に着目し、その分子メカニズムの解明を目標に研究を遂行した。 ヒト滑膜培養細胞MH7Aを用いたin vitro実験において、GlcNは短時間(1日)処理すると炎症性サイトカイン産生(IL-6 およびIL-8)を抑制した。一方NAGは短時間処理では抑制しなかったが、長期間(3週間)処理することでGlcNと同程度にIL-6 およびIL-8産生を抑制した。抗炎症性サイトカインであるTGF-β産生は、GlcNまたはNAGで影響されなかった。次に炎症シグナルの中心的分子であるNF-κB p65の活性化を調べると、GlcNは短期または長期の処理で抑制したが、NAGは長期間処理でのみ抑制した。また他の炎症シグナル分子であるERKやp38MAPKの活性化を調べると、NAGはERKのリン酸化を抑制する傾向がみられた。 最終年度では、NAGの炎症抑制効果にO-GlcNAc修飾が関与するのか、またタンパク質発現やmRNA発現への影響について調べた。その結果、GlcNはNF-κB p65のO-GlcNAc修飾を増加させるがNAGでは明らかな変化は認められなかった。 これらのことから、NAGは長期処理で炎症抑制効果を発揮し、それにはNF-κB p65やERKの活性化抑制を介していることが推測された。しかし、そのメカニズムはNAGとGlcNではO-GlcNAc修飾の違いなどを考えると異なる可能性が考えられる。今後、更なるメカニズム解明を進めたい。
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