2018 Fiscal Year Research-status Report
急性期脳梗塞における腸管T細胞の影響とプロバイオティクス治療応用の検討
Project/Area Number |
18K05492
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
山城 一雄 順天堂大学, 医学部, 准教授 (00348921)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 腸内細菌 / 脳梗塞 / 糖尿病 / Tリンパ球 |
Outline of Annual Research Achievements |
腸内細菌は腸管免疫細胞の分化制御に密接に関与している。一方で腸内細菌叢の異常は免疫機構の異常をきたし自己免疫疾患などの発症や増悪に関連している。近年、免疫細胞は脳梗塞急性期の組織障害の進展にも関わっていることが明らかとなってきている。そこで本研究では脳梗塞の危険因子であり、かつ腸内細菌叢の異常をきたす代表的な疾患である糖尿病に注目し、糖尿病マウスを用いて脳梗塞を作成することで、腸管の免疫細胞による脳梗塞急性期の病態への関与について解明することを目的とする。 現在までに以下の研究結果を得ている。 5週齢から17週齢までC57BL6マウスに高脂肪食(high fat diet: HFD)を投与した群と、低脂肪食(low fat diet: LFD)を投与した群の2群を作成。17週齢において、HFD群ではLFD群と比較して血糖値が有意に上昇していることを確認した。次にこれらのマウスの腸管の粘膜固有層に存在するリンパ球について、フローサイトメトリーによる比較を行った。その結果、小腸においてHFD群ではLFD群と比較して、インターロイキン(IL)-17産生性CD4陽性Tリンパ球(Th17細胞)が有意に増加していることを確認した。一方で大腸ではTh17細胞に明らかな差は認めなかった。またγδT細胞は小腸および大腸ともに両群に差は認めなかった。Th17細胞は炎症性サイトカインを分泌し、感染症への防御機構として働く一方で、その過剰活性化は炎症性腸疾患や関節リウマチなどの自己免疫性疾患の発症や増悪に密接に関与していることが示されている。現在までの解析結果より、HFDによる糖尿病マウスの腸管において、炎症性T細胞が増加していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初より予定していた計画どおりに、順調に解析が進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は炎症の制御に関与する制御性T細胞についても、フローサイトメトリーによる解析を行う。またHFD群及びLFD群に対して脳梗塞を作成し、脳梗塞急性期の組織障害におけるTリンパ球の関与についてフローサイトメトリーによる解析、さらには炎症性サイトカインの影響についてELISAなどを用いた解析を予定している。またプロバイオティクス治療により腸管免疫細胞の制御を介した脳梗塞急性期における脳保護効果についても検討を行う。
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Causes of Carryover |
概ね予算額に近い金額を使用しており、次年度使用額分については実験試薬の購入費として使用する。
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