2019 Fiscal Year Research-status Report
農産物を活用した腸内環境調節を介する新規機能性食品素材の開発とメカニズム解明
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18K05494
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
芦田 久 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (40379087)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ビフィズス菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度には、ビフィズス菌B. longum subsp. longum JCM 1217のゲノム中に存在するGH43遺伝子クラスター(locus tags BLLJ_1850-BLLJ_1854)のうちBLLJ_1852とBLLJ_1853について解析し、論文化した。今年度は、BLLJ_1850 (BlArafE)とBLLJ_1851 (BlArafD)をクローニングし、基質特異性を明らかにした。 BlArafEとBlArafDはいずれも合成基質pNP-α-L-Arafに対して作用するexo-α-L-アラビノフラノシダーゼであった。BlArafEはアラビノキシランに作用し、アラビノキシロオリゴ糖を用いた解析からα1,3-Arafに作用することが示唆された。点変異体の解析から、これらの活性はN末端側のGH43 subfamily 22 (GH43_22)ドメインによるもので、C末端側のGH43_34ドメインの酵素活性は検出できなかった。BlArafDはアラビノキシランとアラビナンからアラビノースを遊離させた。オリゴ糖を用いた解析により、α1,3-Arafとα1,2-Arafで二重置換されたアラビノキシロオリゴ糖のα1,2-Arafと、アラビナン主鎖のα1,5-Arafに対して作用することがわかった。点変異体の解析から、N末端側のGH43_UC (unclassified)ドメインが二重置換構造のα1,2-Arafに、C末端側のGH43_26ドメインがα1,5-Arafに作用することが明らかになった。これらの結果から、BlArafEのN末端側GH43_22ドメインとBlArafDのN末端側GH43_UCドメインが協調してアラビノキシランの二重置換構造を分解することが明らかになった。BlArafDのN末端側GH43_UCドメインは新奇の基質特異性の酵素であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
5つの遺伝子クラスターのうちひとつは他グループにより報告され、それ以外の4つの遺伝子に関しては特性解析が完了した。同じGH43ドメインを含む酵素でありながら、基質特異性がそれぞれ異なり、多様な構造の植物性多糖の分解・利用に関わる酵素群であることを明らかにした。この知見に基づき、成人に見られるビフィズス菌を増殖させることができるオリゴ糖単位を設計することができる。
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Strategy for Future Research Activity |
BLLJ_1850 (BlArafE)とBLLJ_1851 (BlArafD)については論文化を進める。このGH43クラスターとはゲノムマップ上の遠い位置に存在する残る2つのGH43遺伝子の解析をおこなう。
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Causes of Carryover |
年度末に計画していた研究成果発表のための旅費が、学会中止にともない支出されなかった(日本農芸化学会大会 2名分、ビフィズス菌国際シンポジウム 2名分,約28万円)。また準備中の論文の投稿が年度内に間に合わず投稿料が支出されなかった(約24万円)。それぞれ、次年度の旅費と投稿料に充てる。
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Research Products
(7 results)