2021 Fiscal Year Research-status Report
三陸沿岸の幼児の栄養素と微量元素摂取量に及ぼす津波被災の長期的影響に関する研究
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18K05496
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Research Institution | 八戸学院大学 |
Principal Investigator |
千葉 啓子 八戸学院大学, 健康医療学部, 教授 (90197137)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 孝男 東北文教大学, 人間科学部, 教授 (20004608) [Withdrawn]
猿渡 英之 宮城教育大学, 教育学部, 教授 (30221287)
中塚 晴夫 金沢学院短期大学, 食物栄養学科, 教授 (70164225)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 微量元素摂取量 / ミネラル摂取量 / 保育園(所)給食 / 津波被災地 / 長期的影響 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では三陸沿岸地域の幼児の食事中微量元素摂取量、ミネラル摂取量などへの震災・津波による長期的な影響を検討する目的で、幼児の食生活に重要な役割を果たしている保育園(所)給食を取り上げ、陰膳方式で給食を採取し、実測により摂取量の把握を行った。 本年度は沿岸地域の保育園(所)給食について分析を進める予定であったが、新型コロナ感染症拡大防止の観点から、引き続き猿渡教授(宮城教育大学)と協働行う分析前処理及び機器分析を控えたため分析が終了した一部についてデータ解析を行い、以下の結果を得た。 対象は2017~2019年に実施した保育施設3箇所で、いずれも給食を自園調理しており,食育にも積極的に取り組んでいる。調査方法は陰膳実測法により,3歳未満児の給食(昼食とおやつ・飲料)で行事食などを含まない普段の食事を連続3日間,献立表とともに回収し,管理栄養士が食品を分別・秤量,記録した。その食品重量をもとに栄養素等摂取量及び食品群別摂取量を日本食品標準成分表2015年版により算出した。実測には給食試料を1日分ごとにミキサーで磨砕し均一化し、硝酸灰化したのち,ICP-MS,ICP-AESにより元素測定した。 対象施設における3歳未満児の給食でCa,P,K,Na,Mgの多量元素及びFe,Zn,Cu,Mn,Moの微量元素摂取量について栄養計算値と実測値を比較しした。多くの元素は保育施設給食による給与栄養目標量と同程度,もしくはそれを上回る摂取であったが,Feは全施設で3日間とも目標量を30%近く下回っていた。またCaは2施設で目標量を下回り,そのうち1施設では50%以下であった。FeやCaは発達期の幼児に重要な栄養素であり,昼食やおやつ,飲料に大豆・豆製品や藻類などこれらの元素を多く含む食品を組み合わせたり,調理方法にもさらに工夫し,給与目標量を満たすことが望まれる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
①新型コロナ感染症拡大防止の観点から、所属機関においては学外活動の制限があり、仮に出張などを実施した場合、帰宅後待機期間が生じ、講義等の業務に著しい支障をきたすことから、猿渡研究室での猿渡教授(宮城教育大学)との協働実験(分析前処理及び機器分析)を控えたため分析が遅れている。 ②本研究は代表者の千葉のほか、3名の研究者との協働研究としてスタートしたが、渡辺(元東北文教大学教授、H31年死去)、中塚(元金沢学院短期大学、R2退職、現在は研究協力者)の2名が分担者から外れ、千葉と猿渡の2名の役割分担が当初計画より増え、全体的に遅延している。 ③試料分析の前処理を行う灰化装置のメンテンスがコロナ禍で技術者の派遣が止まっており、前処理がストップしている。
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Strategy for Future Research Activity |
試料の灰化装置のメンテナンスがようやく6月中旬に実施される運びとなったので、順次前処理を進め、元素分析の完了とデータ解析に努める。今後も給食試料の元素分析を続けるほか,共同研究者であった渡辺の山形県内保育園(所)試料についても分析とデータ解析を行い、摂取食品の地域性などとの関連についても検討し,沿岸地域の震災・津波の影響の有無を明らかにする。 微量元素摂取量の日本人における知見、とくに最近日本食品成分表に記載が始まったヨウ素、セレン、クロム、モリブデンなどは乳幼児での既存データが極めて少ないため、これらの微量元素について、摂取状況の把握に努めたい。
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Causes of Carryover |
令和4年度の研究延長が認められたため、使用額が生じた。 遅れている食事試料の前処理及び多元素分析を進め、データ集計及び解析を行い、研究を完了する。得られた結果は専門誌へ投稿する他、関係学会で発表を行う。
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Research Products
(1 results)