2018 Fiscal Year Research-status Report
MIF抑制物質としてのコーヒーポリフェノールは炎症性発癌を抑制するか?
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18K05500
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
大川原 辰也 北海道大学, 薬学研究院, 研究員 (00374257)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 宏司 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60261294)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マクロファージ遊走阻止因子 / 大腸炎 / 大腸癌 / 炎症性発癌 / コーヒーポリフェノール |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性大腸がんモデルマウスをデキストラン硫酸ナトリウム水溶液の7日間の自由飲水により発症させた。マクロファージ遊走阻止因子の活性阻害がされることで炎症性大腸発がんが著しく抑制されることを組織病理学的に明らかにした。炎症性大腸がん発生の確認についてはデキストラン硫酸ナトリウム水溶液投与開始時期からやく16~18週間後に大腸組織を採取して組織標本を肉眼的および顕微鏡的に観察し腫瘍の発生数、腫瘍径、背景粘膜の炎症細胞浸潤や異形成についても観察したが、マクロファージ活性阻害の状態ではこれらは軽度もしくは抑制的であった。採取した組織についてマクロファージ遊走阻止因子の発現と酸化ストレス関連因子であるニトロチロシンの発現を行い、これらの発現が炎症性大腸がん発症されたマウスの大腸組織と比べて抑制的であることも明らかとなった。 コーヒーポリフェノールの一つであり、抗炎症・抗腫瘍・抗酸化ストレス効果を持つと報告されているクロロゲン酸を投与することでマウスの組織中のマクロファージ遊走阻止因子の発現に抑制的な傾向をもって寄与していることを検証し、その傾向がみられることが急性炎症のモデルマウスで明らかとなった。 また、炎症性大腸癌に関連するデキストラン硫酸大腸炎の治療効果を高めるために新たなドラッグデリバリーの可能性を明らかにした。このツールを用いて、極めて少量の化学物質(化合物)等によって炎症や発癌を抑制できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
炎症性大腸がん発癌モデルであるマウスデキストラン硫酸水溶液およびアゾキシメタン投与による炎症性大腸がんの発癌が不安定なためコーヒーポリフェノールやマクロファージ遊走阻止因子活性阻害剤などの投与試験にうまく入れない状況である。その中で、一部のツールによるマクロファージ遊走阻止因子の活性阻害により炎症性大腸がんの発生が抑制傾向であることまでは確認できている。 コーヒーポリフェノールの一つであるクロロゲン酸を投与することで炎症性発癌を抑制する他の評価系も構築できていないところもある。 現在、細胞株を用いてクロロゲン酸などの炎症・癌関連因子への影響を確認する研究については準備段階である。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症性大腸がん発症の安定化を図るため、アゾキシメタンやデキストラン硫酸ナトリウムの投与量や投与期間、投与サイクルなどを再検証することを検討している。またクロロゲン酸をはじめとするコーヒーポリフェノールがマクロファージ遊走阻止因子の活性を抑えることを確証するために様々な細胞株を用いた投与試験で、活性抑制の程度や炎症・癌関連因子の解析を進めて、コーヒーポリフェノールがマクロファージ遊走阻止因子の作用を介して炎症・発癌のコントロールに寄与していることを明らかにしていくことも計画している。
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Causes of Carryover |
炎症性発癌および炎症発症マウスモデルの作成で不安定な結果となり、これらの実験の設定や方法を再検討するために一時的に試験を止めたため、マウス購入費用や組織標本作成、これに関係する分子生物学的試験のための試薬やキットの購入が滞り、当該年度の助成金使用額の残金が発生した。次年度において疾患モデルマウスの再検証と関連する実験において当該年度の助成金も動物購入費用や解析用の試薬やキットの購入に使用する計画である。
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Research Products
(1 results)