2018 Fiscal Year Research-status Report
ファイトケミカルの腸内動態と腸内環境におよぼす影響の解明
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18K05505
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 伊津子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50418943)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒト腸内細菌叢 / ケルセチン |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、腸内細菌叢(大腸フローラ)と疾病・健康との関連性が指摘されており、腸内フローラの代謝産物が宿主であるヒトの健康に寄与していることが明らかとなっている。本研究では、個人ごとに異なる腸内フローラの菌数・菌種の保持およびその代謝物である短鎖脂肪酸(SCFAs)濃度のバランスを再現できる培養系ヒト大腸フローラモデル(Kobe University Human Intestinal Microbiota Model [KUHIMM])を用いてケルセチンおよびその配糖体を用い、細菌叢およびその代謝物に対する影響を評価した。 すなわち、KUHIMMにケルセチンおよびその配糖体であるイソケルシトリン、α-グリコシルイソケルシトリン、ルチン、α-グリコシルルチンを最終濃度50 μg/mlとなるよう添加し、培養0、30時間後の培養液を採取してSCFAsおよびアンモニア量を測定するとともに、リアルタイムPCRによる細菌叢構成の解析を行った。 培養30時間後の培養液からゲノムDNAを抽出し、リアルタイムPCRによりBacteroidetes、Firmicutes、Actinobacteria、γ-Proteobacteriaの4種の門に特異的なプライマーを用いてそれぞれの細菌数を定量した結果、提供者1名でコントロールのFirmicutes量がケルセチン添加時には有意に減少した。属レベルでは有意な変化は認められなかった。同提供者でコントロールにおけるSCFAsの構成が酢酸とプロピオン酸が多数を占めていたのに対して、ケルセチン添加によりコハク酸量が有意に高く、プロピオン酸量が有意に低い結果が得られた。他の提供者2名では同様の結果は得られなかったことから、腸内細菌叢の特徴によってケルセチンの細菌叢およびその代謝物に対する影響が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究当初の本年度の計画であった、ケルセチンの腸内環境への影響についてはおおむね予定通り評価をし終えた。一方で、イヌリンについては現在解析中であり、ルテインの評価とインドールの定量法については遂行できていないが、平成31年度に解析予定のイソチオシアネートと並行して進める。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画で使用予定であったKUHIMMは、8連の連続嫌気培養装置であるが、今後はさらにN数や被験物質の拡大が見込まれるため、KUHIMMと同等の評価系でかつ小型化したブチルゴム栓瓶を使用したminiaturized KUHIMM (mKUHIMM)を用いて多検体での評価を推進する。
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