2019 Fiscal Year Research-status Report
ファイトケミカルの腸内動態と腸内環境におよぼす影響の解明
Project/Area Number |
18K05505
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
福田 伊津子 神戸大学, 農学研究科, 助教 (50418943)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 腸内細菌叢 / ファイトケミカル / ケルセチン / イヌリン |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は、ファイトケミカルとしてケルセチンとイヌリンに着目し、その腸内環境に及ぼす影響を解明するため、ヒト腸内細菌叢モデルを用いて試験を実施した。 フラボノイドの一種であるケルセチンは、従来から明確であるように抗菌作用が強く、特に、Firmicutes門およびおよびActinobacteria門の細菌群を減少させ、その結果、腸内細菌叢によって産生される短鎖脂肪酸量も低下した。一方で、Proteobacteria門の細菌群は増加傾向にあった。このことから、ケルセチンは、抗菌活性作用が強く、かつ、それは特定の細菌群に顕著であることが示唆された。 プレバイオティクスとしての効果が期待されるイヌリンは、重合度の違いによるプレバイオティクス効果への影響も検討するため、重合度の低いフラクトオリゴ糖と重合度の高いイヌリン、これらの中間に位置するフジFFを使用して評価した。その結果、Bifidobacterium属、Prevotella属、Faecalibacterium prausnitziiなどの細菌群を増加させた一方で、Bacteroides fragilis groupを減少させた。糞便細菌叢の代謝産物である短鎖脂肪酸のうち、酢酸、プロピオン酸は重合度の低いフラクトオリゴ糖の添加で減少傾向であったが、酪酸産生量は増加傾向にあった。アンモニアおよびインドールは、イヌリンによって減少傾向にあった。培養後にイヌリンが消失していたことから、糞便細菌叢により資化されていることが考えられた。 ケルセチンとイヌリンの糞便細菌叢におよぼすこれらの影響は、糞便提供者によって異なることが明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
培養試験、分析試験ともに概ね当初の予定通りに進行している。
|
Strategy for Future Research Activity |
さらに試験効率を上げるため、従来のヒト腸内細菌叢モデルより小スケール化したブチルゴム栓を用いた密閉系の培養系を使用する。
|