2018 Fiscal Year Research-status Report
Assessment of lactoferrin for improvement of insulin resistance in the newborn animal induced by their mother's high glycemia
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18K05506
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 崇 鳥取大学, 農学部, 教授 (20216849)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラクトフェリン / インスリン抵抗性 / 新生子 |
Outline of Annual Research Achievements |
幼児期のインスリン抵抗性には母体の影響が大きく関与しており、妊娠期に肥満かつ高血糖の母体は出生した新生児のインスリン抵抗性発現の危険因子になることが報告されている。本研究ではラクトフェリン(bLF)がインクレチン分泌を介してインスリン放出を促進し、インスリン抵抗性の改善効果が期待できることに着目し、母ラットの妊娠期から新生子が成熟するまで高スクロース高コレステロール食を給餌することで、インスリン抵抗性モデルラットを作成し、ラクトフェリンによる改善効果の解析を試みた。 【実験1】妊娠11日齢母ラットを高脂肪食(Fat:20.7%、スクロース:20.1%)給餌群(HF群)とコントロール食(Fat:1.9%、スクロース:16.4%)給餌群(Cont群)に分け、それらの子ラット(雌雄)にも離乳後に母親と同様の食餌を与えた後、生後7週齢でブドウ糖(2g/kg)経口耐糖能試験(OGTT)を行った。【実験2】別の妊娠ラットを用い、上記の2群に加えて、妊娠期から授乳期はCont食を給餌し、離乳後の子ラットにHF食を給餌(離乳後HF群)して、生後10週齢でOGTTを実施した。 実験1の7週齢で実施したOGTTでは、雌では群間に差がないものの、雄ではHF群で血糖値の下降は遅延傾向にあった。また、肝臓重量はCont群で有意に重く、精巣周囲脂肪重量はHF群で有意に増加していた。これよりHF食の影響は雄において顕著に表れやすいと考えられた。 実験2における離乳後HF群の体重はCont群と同様に推移したのに対し、HF群では55日齢以降に有意な増加を示した。10週齢で実施したOGTTでは、HF群と離乳後HF群の血糖曲線は類似していたが、離乳後HF群のグルコース投与後60分においてCont群に比較して有意な増加を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
妊娠期から母ラットに高脂肪食を給餌するケースと離乳後から高脂肪食を給餌して比較したところ、離乳後妊HF群の体重増加はCont群と同様であったことから、妊娠期から授乳期に母ラットが高脂肪食を摂取すると、子ラットの脂肪蓄積量が増加することが確認された。耐糖能試験ではHF群と離乳後HFはともにCont群よりも高血糖であり、一部で離乳後HF群の方が有意な高血糖を示したことから、妊娠期から授乳期の母ラットの高脂肪食摂取は子ラットの血糖調節機構に何らかの影響を及ぼすことが示唆された。以上より、当初の目的である子ラットの高血糖モデル作成がほぼ確立できたと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度において確立した高血糖モデルラットから採取した膵臓、白色脂肪、褐色脂肪、肝臓、骨格筋等の組織について遺伝子発現解析を行い、インスリン受容体、GLUT4等の発現状況を検証することで、モデル動物の病態を詳細に把握する予定である。 また、確立した10週齢の高血糖モデルラットにラクトフェリンを投与することで、高血糖改善効果の有無を検証する。さらに、高脂肪食を妊娠期から給餌して得られた新生子ラットに対し、生後5日から21日までラクトフェリンまたは生理食塩水を1日1回経口投与し、新生子期のラクトフェリン投与が成熟後の高血糖改善に寄与するか否かを検証する予定である。併せて、各種臓器の遺伝子発現解析を進め、ラクトフェリンの作用機序の解明を目指す。
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