2018 Fiscal Year Research-status Report
食品異物及びカビ伝播の原因となる食菌性昆虫はカビ毒産生能を亢進する
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18K05509
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
小西 良子 麻布大学, 生命・環境科学部, 教授 (10195761)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 直樹 麻布大学, 生命・環境科学部, 講師 (90447558)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | チャタテムシ / Aspergillus versicolor / Ochrobactrum anthropi / 食菌性昆虫 |
Outline of Annual Research Achievements |
目的:チャタテムシに注目し、その食菌性のメカニズムについて体内環境から探索することにした。カビを栄養源としながらカビ毒の影響を受けないチャタテムシには消化管内の環境、消化酵素、腸内細菌によりカビを不活性化させる仕組みがあるのではないかと考えられる。これを明らかにするためにチャタテムシが食べる真菌をAspergillus versicolorと仮定し、消化管内の環境、消化酵素、腸内細菌によってA. versicolorの増減で影響力を判断することにした。 方法:A. versicolorをPDA培地で1週間培養し、一定量を採取した。次にA. versicolorをpH10.1の弱アルカリ性の溶液(消化管内の環境)、チャタテムシの糞から単離したOchrobactrum anthropiをPDB培地で培養した際の培養上清液(腸内細菌)、セルラーゼ溶液(消化酵素)、チャタテムシを粉砕し作製した虫体抽出液にそれぞれ一定時間反応させ、A. versicolorの生存率を検討した。対照として各検体を反応させていないA. versicolorを用いた。 結果: pH10.1の弱アルカリ性の溶液(消化管内の環境)を用いた実験では対照と比べ、検体の方が生存率が減少したが18時間反応後では175.5%増加した。チャタテムシの糞から単離したO. anthropiをPDB培地で培養した際の培養上清液を用いた実験では生存率が減少した。セルラーゼ溶液を用いた実験では対照と比べ、生存率が減少した。 以上の結果により消化管内の環境、腸内細菌、消化酵素のどの事象においてもA. versicolorの生存率が減ることが判明した。しかし完全に死滅することはなく生存菌体を糞とともに排出している可能性があることからカビ毒産生能を獲得する可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度の成果により、当初予定していた菌の体内動態が解明されてきた。特に腸内細菌において抗真菌性物質を産生していることが確認された。そのため、おおむね順調に進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
目的:今年度は、繰り返し食菌されることによる真菌側のトランススクリプションの可能性を、ステリグマトシスティン産生遺伝子を対象に、リアルタイムPCRにより測定を行う。 方法:ステリグマトシスティン産生遺伝子を有しているが、産生はしていない真菌、Aspergillus tabacinusを用いる。ヒメマキムシにA.tabacinusを食菌させ、糞を採取する。糞の外側を殺菌したのち、PDA培地で3-4日間培養する。ここで培養した菌をさらに食菌させ、糞中の同真菌を培養させる。この作業を5-6回繰り返す。同時に各培養から、菌体を採取しRNAを抽出する。cDNAにもどし、リアルタイムPCRをもちいて、毒素産生遺伝子の発現量の変化を測定する。いままでにステリグマトシスティン産生に関わる遺伝子として14種類明らかになっていることから、代表的な7種を選んで実験対象とする。予想される成果:前年度までに食菌性昆虫の体内では、摂取された真菌は消化酵素、pH,腸内細菌の抗真菌物質など多くのストレスに さらされていることが明らかになったので、そのストレスがカビ毒産生に影響するかを検討し、環境へのカビ毒産生真菌の危険性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
今年度予定していた論文執筆に対する投稿料や英文校閲代が未使用となったが、来年度論文投稿する際に使用する予定である。
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