2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K05521
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
田中 竜介 宮崎大学, 農学部, 教授 (30399654)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
幡手 英雄 宮崎大学, 農学部, 教授 (10325730)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ヒスタミン / ヒスチジン / 生体アミン / HPLC / 水産物 / 品質劣化 |
Outline of Annual Research Achievements |
水産物の食中毒の原因物質の一つとして知られているヒスタミンは、ヒスチジンにヒスタミン産生菌が持つ脱炭酸酵素が作用し、ヒスタミンに変換されることによって生成される。一方、最近の研究で、ヒスタミンの生成は本酵素の作用だけではなく、ヒスチジンが脂質酸化物との非酵素的反応により生成される可能性が示唆されている。しかし、詳細な反応機構は不明である。特に水産物は不飽和脂肪酸を多く含むため脂質酸化物を生成しやすいことから、脂質酸化物とヒスチジンによるヒスタミンの生成についても注目すべきである。また、ヒスタミンだけではなく、水産物の品質劣化に伴い脱炭酸によってアミノ酸のチロシンからチラミン、リジンからカダベリン、オルニチンからプトレシン等の生体アミン類がそれぞれ生成される。これらチラミン、カダベリン、およびプトレシンは腐敗臭を伴うだけではなく、ヒスタミンの解毒作用を阻害するため、ヒスタミンの作用が持続・増強される。従って、食品の品質・衛生の観点からヒスタミンと同様にチラミン、カダベリン、およびプトレシンの生成についても着目すべきである。 本年度の研究実績は、食品の品質に関与するヒスタミンおよびその他の生体アミン類の生成機構を明らかにするために、食品中に存在するヒスタミンをはじめとした生体アミン類の一斉分析法の開発を行った。ヒスタミンのみの分析方法は多く知られているが、食品の品質に関与する生体アミン類の一斉分析法は少ない。そこで、連続分析に対応できる高速液体クロマトグラフィー法(HPLC)-カラムスイッチング法を利用した一斉分析法の開発を行い、水産物に限らず、様々な食品における生体アミン類を分析することにより、食品の品質劣化に伴う生体アミン類の挙動を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、食品の品質に関与するヒスタミンおよびその他の生体アミン類の生成機構を明らかにするために、高速液体クロマトグラフィー法-カラムスイッチング法を利用した食品中に存在するヒスタミンをはじめとした生体アミン類の一斉分析法の開発を行った。本法を利用し、水産物に限らず、様々な食品における生体アミン類を分析することにより、食品の品質劣化に伴う生体アミン類の挙動を明らかにした。本研究については、査読付き国際雑誌に掲載された。また、ヒスタミン生成に関わるヒスチジンに着目した場合、ヒスチジンを構造式に持つイミダゾールジペプチド(IDP)についても着目するべきである。特に大型回遊魚にはIDPが多く存在することから、水産物の品質劣化に伴うIDPの挙動とヒスタミンおよびその他の生体アミン類の生成についても検証する必要がある。そこで、本年度は、食品中に含まれるIDPの一斉分析法の開発を行い、様々な食品におけるIDPの評価を行った。本研究についても、査読付き国際雑誌に掲載された。
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Strategy for Future Research Activity |
生体アミン類の分析法およびイミダゾールジペプチド(IDP)の分析法を利用して、脂質酸化由来のアルデヒドとアミノ酸およびIDPの反応性について検証を行う。また、反応生成物について構造解析などを行い、ヒスタミンおよび生体アミン類の生成を確認する。
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Causes of Carryover |
2019年5月に国際学会への参加が決定しているが、その旅費が予定以上の金額となり、本年度の予算の一部を次年度に繰り越し合わせて使用するため。
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Research Products
(2 results)