2018 Fiscal Year Research-status Report
肥満由来の脳酸化亢進に伴うStg1発現上昇とトコトリエノールによる防御
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18K05522
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
福井 浩二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80399807)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗肥満効果 / トコトリエノール |
Outline of Annual Research Achievements |
申請計画通り、9月齢のC57BL/6マウスに高脂肪食(HFD)を5か月間投与して肥満モデルマウスを作製した。しかし、合計の動物数が60匹と多いため、一度に作製することはできず、2回に分けて実験動物を作製。現在、2グループ目が特別食を投与中である。また、トコトリエノール(T3)の効果を検証する目的で、T3添加群も同時に作製した。これまでの予備実験の結果を踏まえT3の添加量は、過去に当研究室で実施した際の10mg/100g dietから、50mg/100g dietへと増量した。 第1グループの結果からは、これまでの短期投与ではT3の抗肥満効果が確認されていたが、今回の長期投与では最終的に体重差は無かった。よって、これまでの報告にあるT3の抗肥満効果は体重増加遅延作用であった可能性が新規に考えられた。5か月の投与期間終了後、モーリス水迷路試験とロータロッド試験を実施した。その結果、対照食とHFD群、それぞれにT3を添加した計4群で、いずれも認識機能と運動機能に有意な差は無かった。個体の中には最大遊泳時間で目標物まで到達できなかったものもあったので、今後はこれまでの最大遊泳時間を60秒としていたが120秒か180秒へと変更する予定である。 行動試験終了後、マウスを解剖して大脳・小脳・海馬領・肝臓・心臓・腎臓・血液を別々に採取、-80℃にて保存した。この検体については第2グループの解剖が終了し次第、申請書の当初の予定にもある解析を行う予定である。 研究はおおむね当初の予定通りに推移している。今後も着実に計画通り研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は9月齢のマウスに高脂肪食を長期投与(5か月間)する実験の為、実検動物の作製に長期間を有するが、おおむね順調に肥満モデルマウスの作製は進んでいる。しかし、本実験ではT3量を多くしたこと、また動物数が多いことから、従来に比べT3や飼料の消費量が非常に大きく、欠品を出さないために飼料の調整・作成には慎重を期した。 また、申請計画通り蛍光のマイクロプレートリーダーも設備備品として購入した。現在は、次年度から解析が開始できるようテスト使用を続けている。また、次年度にRT-qPCRによる解析を予定しているため、目的遺伝子のプライマーをBLASTにて設計し、増幅効率の確認作業を実施。設計したプライマーが正常に働くことも確認した。 行動実験についてはT3添加により認識機能と運動機能が有意に改善すると思われたが、有意差は得られなかった。しかし、有意差が出ない場合については申請書にも記入済みだが想定されるケースであるので、継続して研究を続ける。
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Strategy for Future Research Activity |
まもなく第2グループの動物の作製が終了するので、直ちに行動試験を開始する。その後、申請書の予定通り、Western blottingとRT-qPCRにて酸性の可溶性タンパク質であるSecretogranin-1の発現変動について検討する。また、T3が脳まで確実に到達しているかを明らかにするために、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いてT3を測定する。Secretogranin-1で発現変動が確認できなかった場合には、他の候補タンパク質について同様の検討を行う。(既に同定しているが名称は記載できない)。 以上の項目を2019年度に実施し、確実に研究計画を遂行させる。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた主な要因は機器を購入した際の当初予定額との差額である。次年度使用額については2019年度予算と合わせて消耗品の購入に使用する。
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