2019 Fiscal Year Research-status Report
肥満由来の脳酸化亢進に伴うStg1発現上昇とトコトリエノールによる防御
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18K05522
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
福井 浩二 芝浦工業大学, システム理工学部, 教授 (80399807)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗肥満効果 / トコトリエノール |
Outline of Annual Research Achievements |
申請計画通り、昨年度に引続き9月齢のC57BL6マウスに高脂肪食(HFD)を5か月間投与して肥満モデルマウスを作製し、トコトリエノール(T3)の有無による体重変化やセクレトグラニンを含む各種タンパク質や遺伝子発現の変動について検討を行った。 その結果、T3の投与前半では有意な体重増加抑制作用を確認した。しかし、その有意差は投与後半では消失した。この原因として我々は、成長による自然の体重増加は関与しておらず、HFDの投与期間が長期に及んだことと、T3の投与量が少なかったためではないかと考えている。脳内のT3量をHPLCにて測定したが、餌中の量は同量であるにもかかわらず、脳内での量はHFDにT3を添加した群の方が対照食にT3を添加した群よりも高い傾向にあった、この理由にはT3の脂溶性や取り込まれやすさ等が考えられるが、明確な答えは得られていない。また、HFDを長期に投与したにもかかわらず、過酸化脂質の測定からでは脳内で有意に酸化は亢進していなかった。よって、肝臓や他臓器についても注目する必要がある。以上の結果については現在論文を執筆中である。 HFD由来による脳酸化を仮定して、神経突起変性関連タンパク質のいくつかをウェスタンブロッティングとRT-qPCRにて解析した。しかし、顕著な傾向はこれまでに確認できていないため、更なる検体数の増加等を含め検証が必要である。 研究はおおむね投与の予定通り遂行しており、今後も着実に計画通り研究を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験動物に特別食を与え、その後行動実験、更に解剖してタンパク質と遺伝子発現の変化を確認する一連の期間が非常に長い。そのため、追加で検体数をすぐに増やすことは非常に難しい。しかし、2019年度には蛍光のマイクロプレートリーダーとビーズホモジナイザーを購入したことから生化学的解析の処理能力は格段に向上している。2020年度はこれらの新規の機器をさらに活用することでより多くのデータを得ることができる。 また、現在、若齢マウスにおける短期投与群を作製中である。これにより、これまでに行ってきた長期投与モデルとの比較が可能となる。 年度末は感染症の影響により研究の遂行に若干の遅延が発生しているが、おおむね当初の予定通り遂行できる予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請研究の最終年度であるため、セクレトグラニンと他の候補タンパク質についてのタンパク質発現と遺伝子発現のデータを検体を現在作製中の動物含め追加して測定する。 まとまったデータを論文化する。
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Causes of Carryover |
わずかながら端数として次年度使用額が発生したが、物品費として2020年度に使用する。
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