2019 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子間相互作用を再現したモデル動物での高脂肪食誘導性脂肪肝発症メカニズムの解明
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18K05532
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 美里 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (20456586)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 脂肪肝 / 脂肪組織 / 遺伝解析 / ノックアウトマウス / QTL |
Outline of Annual Research Achievements |
遺伝子間相互作用を再現可能なChr.12コンソミック-Iah1-ノックアウト(12-Iah1-KO)マウスでの脂肪肝形成の証明 昨年度にSMXA-5の遺伝的背景を持つChr.12コンソミックマウスにおいて、CRISPR/Cas9システムによりIah1遺伝子のゲノム編集を行って、Chr.12コンソミック-Iah1-KOマウス(12-Iah1-KO)を作製した。今年度は得られた2つのKOラインを繁殖させ、実験に用いた。対照系統であるChr.12コンソミックとこのKOマウスに高脂肪食を摂取させて12週間後に体重、脂肪組織重量、肝臓脂肪蓄積、血中脂質濃度を測定した。Iah1遺伝子をKOすることでコンソミックマウスに比べて肝臓への脂肪蓄積が増加することを期待した。しかし、作成した2つのラインのKOマウスではともに、コンソミックとの間に有意な差が見られなかった。また、体重推移、精巣上体脂肪重量、血中脂質においてもKOによる影響は見られなかった。 さらに、以前作出したC57BL/6マウスの遺伝的背景で全身性にIah1をKOしたマウスにおいても、12週間の高脂肪食摂取によるIah1の脂肪肝への効果を確かめるために、追加実験を行った。以前の実験では、個体差が大きくなっていたため、追加実験では個体数を増やして実験を行い、成長不良の個体については除外して解析を行った。その結果、C57BL/6のIah1-KOマウスの体重、脂肪組織重量、肝臓脂質、血中脂質においても、Iah1欠損による影響がないことを確認した。 そのため、Iah1遺伝子は高脂肪食誘導性脂肪肝の発症には関与しないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
作成したノックアウトマウスの繁殖も良好で、マウスの飼育、高脂肪食の負荷実験は予定通りに実施可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
実験としては順調に進めることができたが、当初期待したとは異なる結果が得られた。 そのため、Iah1遺伝子の肝臓以外での働き、また、Iah1遺伝子にコードされているタンパク質の機能についての解析を今後すすめる予定である。
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