2018 Fiscal Year Research-status Report
乳酸菌のC型レクチン受容体を介した抗炎症機構の解明
Project/Area Number |
18K05539
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
島津 朋之 宮城大学, 食産業学群(部), 助教 (20616437)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 抗炎症 / C型レクチン受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
クローン病や潰瘍性大腸炎に代表される炎症性腸疾患が急増しており、QOLを大きく低下させることから大きな社会問題になっている。これまで、ある種の乳酸菌が腸管樹状細胞への機能発揮から制御性T細胞を増加させ、マウスDSS誘導大腸炎を軽減させることが明らかになっていた。申請者は、乳酸菌の菌体成分がTregの増加に関与すること、そしてその認識にC型レクチン受容体ファミリー分子が関与することを明らかにしており、本研究では、この受容体を特定すること、そして乳酸菌上に存在する成分を明らかにすることを目的とした。 今年度はまず樹状細胞株を用いて、C型レクチン受容体の絞り込みを行った。アダプター分子のノックダウンにより、C型レクチンの絞り込みが行えた。この結果を元にレポーター細胞の構築を行っている。候補となる約10種類のC型レクチン受容体のベクターを作成し、現在3つの受容体に関して、これらを強制発現させたレポーター細胞の構築を完了したが、陽性リガンドに対する反応性は認められたものの、乳酸菌に対する反応性は示さなかった。また、TLRとの協調作用が重要である可能性があるため、今回新たにTLR刺激に反応するレポーター細胞の構築を行った。今後、TLRとの協調作用が認められるような強制発現レポーター株を作成する。レポーター細胞の構築とは別に、樹状細胞におけるシグナル経路の活性化を検討した。その結果、MAPKの強い活性化が認められた。これは、乳酸菌による強いIL-10産生と合致する結果であると考えられる。本研究の進展により、普段摂取する食からの健康増進はもとより、多様な現代病制御への発展的応用が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の予定通りC型レクチン受容体の絞り込みが行えた。この結果を元にレポーター細胞の構築を行っている。しかし、TLRとC型レクチンの協調作用が重要であることが示唆されており、単純な1つの受容体の発現のみではリガンドの検出が弱い可能性が考えられる。そこで、当初予定していなかった新たなレポーター細胞の作成を行ったが、ウイルスベクターの感染効率が悪く、作成に時間を費やした。しかし、今後の研究の進展には必要であると考えている。また、異動にともない、セットアップに時間を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きレポーター細胞の構築を行っていく。また、生化学的な分離による乳酸菌の成分同定も同時に進め、多面的に成分同定、受容体同定を進めていく。また、乳酸菌による疾病制御を目指した応用面に関する研究も行っていく予定である。上記の試験結果は1つの乳酸菌株に絞った研究を行っているが、自然界由来の数十種類の乳酸菌の評価も行うことで抗炎症作用を持つ乳酸菌の機能性の優劣から手がかりを得ることも試みる。
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Causes of Carryover |
物品費として使用を予定していたが少額の残金のため次年度に繰り越した。本年度に使用を予定している。
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Research Products
(2 results)