2019 Fiscal Year Research-status Report
デジタルLAMP法による簡易迅速遺伝子定量技術の開発
Project/Area Number |
18K05543
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
高畠 令王奈 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (20463466)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 定量分析 / LAMP / DNA / 簡易迅速 |
Outline of Annual Research Achievements |
デジタルLAMPに適した検出法を検討した。デジタル定量法の要件を満たすには、同時に二種類以上の増幅産物を検出する必要がある。リアルタイムPCRでは、DNAプローブを用いたTaqMan法が利用されており、DNAプローブの蛍光波長を使い分けることによって標的由来の増幅産物を識別することが可能となっている。一方、LAMPでは、増幅に使用するDNAポリメラーゼの種類がPCRとは異なることから、TaqMan法が使用できない。そこで、昨年度は、蛍光消光現象(QP:Quenching phenomenon)を利用した核酸プローブであるQProbeを用いてLAMP増幅産物の検出を試みた。QProbeによる検出は成功したが、QProbeはLAMP産物が増幅すると蛍光が消光する系であることから、デジタル定量には適用が難しいことが予想された。そこで今年度は、ヘアピン型プローブであるMolecular Beaconの適用を試みた。多くのGM作物に挿入されているカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(P35S)を標的としたプローブの5’側を蛍光物質FAM、3’側をクエンチャーDabcylで修飾したMolecular Beacon用プローブを設計し、LAMP反応液に添加したところ、LAMPの増幅に伴い蛍光の増幅が確認された。また、ダイズの内在性配列であるLectin1(Le1)を標的に、プローブの5’側を蛍光物質ROX、3’側をクエンチャーDabcylで修飾したMolecular Beacon用プローブを設計し、検出の可否を検討したところ特異的に検出可能であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
DNAプローブを用いたLAMP増幅産物の検出等、デジタルLAMPに適した検出法を検討した。リアルタイムPCRにも利用されているTaqMan法は、LAMPとは使用する酵素の種類が異なることから適用できない。そこで、今年度は、ヘアピン型プローブであるMolecular Beacon を利用したDNAプローブを用いてLAMP増幅産物の検出を試みた。多くのGM作物に挿入されているカリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター(P35S)やダイズの内在性配列であるLectin1(Le1)等を標的に複数のMolecular Beacon用プローブを設計し、検出の可否を検討したところ、特異的に検出可能な系の開発に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
DNAプローブを用いたLAMP増幅産物の検出に関して、Molecular Beaconが有効であることが確認された。GM配列であるP35Sとダイズの内在性配列Le1をそれぞれ特異的に検出可能な系ができたことから、GMダイズの同時検出およびデジタル定量が可能であることが示唆される。次年度以降は、FAMとROXの二種類の蛍光物質を用いたP35SとLe1の同時検出を試みる。また、P35S以外のGM標的に対しても適用可能か検証し、さらに、GMトウモロコシでも同様の試みが可能か検証する。最終的には、デジタルLAMP検出法を完成させ、定量限界等の性能評価を行って、デジタルPCRとの性能比較を行う。
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Causes of Carryover |
次年度使用額378,201円は、次年度に請求する研究費と合わせて、交付申請時の計画どおり、物品費および旅費等、研究遂行のために使用する。とくに、次年度以降は、複数のGMダイズおよびGMトウモロコシの標的に対してMolecular Beacon用プローブを設計し、最適な条件を見出す検証実験を予定していることから、試薬・消耗品が大量に必要になると予想される。
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