2019 Fiscal Year Research-status Report
食事性終末糖化産物がRAGEを介したシグナル伝達に与える影響の解明
Project/Area Number |
18K05544
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
小堀 俊郎 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品研究部門, 上級研究員 (10353971)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 終末糖化産物 |
Outline of Annual Research Achievements |
AGEsは種々の糖化物の総称であるが、昨年度までに糖化物の分子種によってRAGEとの結合活性が異なる可能性があることを示した。今年度は、食品の加工によって生じる食事性AGEsは消化によってペプチド化されたのちに吸収されることを考慮し、AGEsのペプチドへの断片化がRAGEとの結合に影響するかを検討した。内在性AGEsのモデルとして種々の還元糖で糖化したBSAを調製し、引き続いて酸性条件下でペプシンによって断片化したものを食事性AGEsのモデルとした。この操作により、両者に含まれる糖化物の分子種及び量を一定に保持できるため、両者と精製RAGEとの結合活性を比較することによって消化による影響を評価した。その結果、使用した還元糖の種類にかかわらず、AGEsをペプチドに断片化することによってRAGEとの結合活性が低下することを見出した。また、キシロース、メチルグリオキサル、グリオキサルで調製したAGEsでは、ペプチドへの断片化によっても結合活性が残存した。これら結果は、糖化物によっては、他の残基等とは関係なくRAGEとの結合に関与することに加えて、タンパク質の主鎖もしくは別のアミノ酸残基側鎖と協同して初めてRAGEと結合できる糖化物が存在しうることを示していた。加えて、ヒト臍帯静脈内皮細胞(HUVEC)への影響を検討するため、上記と同じAGEs試料を培地に添加することによって細胞内に生成するスーパーオキシドアニオンを測定した。その結果、スーパーオキシドアニオンの発生量はAGEsのペプチド化によって低下すること、用いた還元糖の種類によって発生量が異なることなどを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AGEsがペプチドに断片化されることによって精製RAGEとの相互作用が減少すること、またHUVECに誘導されるスーパーオキシドアニオンの発生量が減少することを明らかにしたことに加えて、ペプチド断片となったAGEsが内在性AGEsの細胞影響を軽減できるかどうかについて検討を始めており、当初の予定通りに伸展している。
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Strategy for Future Research Activity |
内在性AGEsのモデルであるタンパク質型AGEsのRAGEとの結合が、食事性AGEsのモデルであるアミノ酸型およびペプチド型AGEsによって軽減できるかどうかの検討を引き続き行う。また、候補となるアミノ酸型およびペプチド型AGEsについて機器分析を行うことによりRAGEに結合する糖化物の同定に向けた検討を行う。
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Causes of Carryover |
想定した価格より安く物品が購入できたため。次年度使用額は消耗品等の物品購入に活用する予定。
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