2020 Fiscal Year Research-status Report
アブシジン酸誘導気孔閉口に関わる新奇カルシウムイオンチャネルの活性制御機構の解明
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18K05557
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宗正 晋太郎 岡山大学, 環境生命科学研究科, 准教授 (20641442)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 気孔 / 孔辺細胞 / カルシウム / イオンチャネル / アブシジン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
孔辺細胞細胞質のカルシウムイオンは、気孔閉口運動の調節を行う孔辺細胞アブシジン酸シグナル伝達において重要なセカンドメッセンジャーとして機能する。本研究では、この孔辺細胞シグナル伝達においてカルシウムイオンの輸送に関与すると考えられる新規カルシウムイオンチャネル候補因子であるgcCNGCとGCMの機能解析を行っている。LC-MS/MSを用いてgcCNGC変異体のアブシジン酸の定量実験を行ったところ、野生株との間でアブシジン酸の蓄積量に有意な差はなかった。そのため、gcCNGC変異体の気孔表現型は、アブシジン酸の蓄積量の変化ではなく、アブシジン酸に対する感受性の変化によって引き起こされていることが明らかとなった。gcCNGCが孔辺細胞のアブシジン酸感受性を変化させるメカニズムを解明するために、パッチクランプ法を用いて遅延型(S型)アニオンチャネルの活性測定を行った。gcCNGC変異体と同様にアブシジン酸高感受性を示すPP2C四重変異体では、細胞内カルシウムイオンによるS型アニオンチャネルの活性化が増強していることを申請者は過去に明らかにしている。しかしgcCNGC変異体では、細胞内カルシウムイオンによるS型アニオンチャネルの活性化にかんして野生株と差は見られなかった。以上の結果からgcCNGCは、PP2Cとは全く異なる機構で孔辺細胞アブシジン酸感受性を制御していることが示唆された。アフリカツメガエル卵母細胞を用いた二電極膜電位固定法の実験では、gcCNGCとGCMともにイオンチャネル活性を観察することができなかった。また前年度同定した新規カルシウムイオンセンサータンパク質の機能解析を行うため、大腸菌を用いてリコンビナントタンパク質の作製を行ったが不首尾であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
gcCNGCのイオンチャネル活性は検出できていないが、変異体の表現型解析はほぼ終了したため現在論文投稿の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
アフリカツメガエル卵母細胞とHEK293細胞を用いた電気生理学実験により、gcCNGCとGCMの活性評価を継続して行ってゆく。単独発現ではイオンチャネル活性が観察されなかったため、気孔開閉を制御する孔辺細胞シグナル伝達に関わる様々な因子と共発現させて実験を行う。新規カルシウムイオンセンサータンパク質にかんしては無細胞系など別の発現系を利用する予定である。
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