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2018 Fiscal Year Research-status Report

液胞アミノ酸排出機構解明によるオートファジーアミノ酸リサイクルの生理的意義の検討

Research Project

Project/Area Number 18K05560
Research InstitutionEhime University

Principal Investigator

関藤 孝之  愛媛大学, 農学研究科, 教授 (20419857)

Project Period (FY) 2018-04-01 – 2021-03-31
Keywords液胞 / トランスポーター / オートファジー / アミノ酸 / 出芽酵母
Outline of Annual Research Achievements

液胞内には細胞全体の70-90%の塩基性アミノ酸が蓄積する。網羅的な局在解析によって同定したVBT1遺伝子を破壊すると液胞内塩基性アミノ酸含量が大幅に低下することを見出し、液胞内に蓄積するアミノ酸の生理的意義を理解するための足がかりを得た。
並行して中性・塩基性アミノ酸を液胞外へと排出するトランスポーターAvt4の活性調節について研究を進めており、窒素飢餓条件でのAvt4の細胞内レベルの増加が、GATA転写因子Gln3とGat1の二重欠損によって低く抑えられることを明らかにしている。そこで、AVT4プロモーター領域のGln3/Gat1結合配列に変異を導入したところ、窒素飢餓条件でのAVT4 mRNAとAvt4タンパク質レベルがGln3とGat1の二重欠損株同様低く抑えられたことから、GATA転写因子が直接AVT4の転写に機能することが示唆された。一方、プロモーターへの変異導入によってAVT4の発現量が低下しても窒素飢餓条件での液胞内アミノ酸は野生株と同様に減少した。したがって、アミノ酸排出活性への影響を検出するには至っておらず、AVT4発現誘導の生理的意義を明らかにすることはできなかった。
AVT4以外の液胞アミノ酸トランスポーター遺伝子の発現についても、窒素飢餓条件での誘導とGATA転写因子欠損の影響をリアルタイムRT-PCRによって検討し、以前のマイクロアレイ解析と一致した結果を得たとともに、GATA因子依存的に窒素飢餓条件で発現量が増加する新規液胞アミノ酸トランスポーター遺伝子を見出した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

液胞膜局在性トランスポーターの網羅的同定に向けて出芽酵母ゲノムにコードされるトランスポーター全228種のGFP融合タンパク質の発現プラスミドライブラリーを作成中であり、個々の細胞内局在も同時に観察中である。本研究の結果と既存データベースの情報を合わせて、液胞膜局在性トランスポーターをリストアップし、その過剰発現による液胞内アミノ酸含量の変化を順次検討している。また、Avt4 N末端親水性領域と相互作用する因子の同定に向け、酵母Two-hybridスクリーニングおよび、共免疫沈降/GST pull-down実験を進めている。特にリン酸化に応答した相互作用の変化を考慮し、推定リン酸化部位をアラニンもしくはアスパラギン酸に置換した変異型Avt4を用いた相互作用因子探索も並行して進めている。
液胞アミノ酸リサイクルの生理的意義については、液胞アミノ酸トランスポーター多重欠損による胞子形成効率および飢餓条件での生存率低下を検出することに成功した。そこで液胞アミノ酸トランスポーター過剰発現/欠損によるTORC1活性の変化を検討したが、顕著な変化を検出するには至っていない。しかし、オートファジー活性の持続・減衰への影響については示唆的な結果を得ており、今後の解析によってTORC1活性とのリンクを明らかにできると考えている。

Strategy for Future Research Activity

網羅的解析より見出してきた新規液胞アミノ酸トランスポーター遺伝子破壊株の中には液胞膜小胞のアミノ酸輸送活性と液胞内アミノ酸含量の変化が一致しないものがある。この矛盾点を解消するために、液胞膜小胞単離法や液胞膜小胞内外のアミノ酸濃度について再検討する。
推定リン酸化部位をアラニンもしくはアスパラギン酸に置換した変異型Avt4 N末端親水性領域をBaitにしたTwo-hybridスクリーニングを現在進めており、相互作用する候補タンパク質を数種単離している。スクリーニングをさらに進めるとともに、これら候補タンパク質とのin vivoでの相互作用を検討する。また、GSTとAvt4 N末端親水性領域の融合タンパク質を過剰発現する酵母株や、大腸菌での組換えタンパク質発現系を構築しており、これらを用いたGST pull-downによっても、相互作用タンパク質同定に向けた実験を行う。
新規に同定した液胞アミノ酸トランスポーターの単一欠損や他のトランスポーターとの多重欠損による胞子形成効率および飢餓条件での生存率の低下を調べ、顕著な低下を示したものについて順次TORC1およびオートファジー活性の変化やマイクロアレイによる網羅的な遺伝子発現解析を行う。

Causes of Carryover

物品の購入に充てるためには残額が少額であるため、次年度の物品購入に加えることにより効率的に使用したい。PCR酵素(30,000円程度)の購入に充てる予定である。

  • Research Products

    (8 results)

All 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (7 results)

  • [Journal Article] Transport of Amino Acids across the Vacuolar Membrane of Yeast: Its Mechanism and Physiological Role2018

    • Author(s)
      Kawano-Kawada Miyuki、Kakinuma Yoshimi、Sekito Takayuki
    • Journal Title

      Biological and Pharmaceutical Bulletin

      Volume: 41 Pages: 1496~1501

    • DOI

      10.1248/bpb.b18-00165

  • [Presentation] 分裂酵母PQループタンパク質Stm1によるアミノ酸輸送の検討2018

    • Author(s)
      上田大資, 津山愛美, 笠井瑠美, 関藤孝之, 河田美幸
    • Organizer
      酵母遺伝学フォーラム第51回研究報告会
  • [Presentation] 塩基性アミノ酸輸送に関わる新規液胞膜局在性トランスポーターの探索2018

    • Author(s)
      川崎祐美, 市村悠, 田中志穂, 笠井瑠美, 関藤孝之, 河田美幸
    • Organizer
      酵母遺伝学フォーラム第51回研究報告会
  • [Presentation] 出芽酵母液胞膜タンパク質Ypq2の解析2018

    • Author(s)
      田中志穂, 原田悠希, 池田紘一, 真鍋邦男, 河田美幸, 関藤孝之
    • Organizer
      酵母遺伝学フォーラム第51回研究報告会
  • [Presentation] 液胞アミノ酸トランスポーターAvt4の発現とアミノ酸輸送活性の調節2018

    • Author(s)
      佐藤明香音, 村上瑛夢, 兵頭美波, 児玉理美, 佐藤有美香, 石本晶也, 河田美幸, 関藤孝之
    • Organizer
      酵母遺伝学フォーラム第51回研究報告会
  • [Presentation] 塩基性アミノ酸の液胞内蓄積に関与する出芽酵母新規液胞トランスポーター同定の試み2018

    • Author(s)
      市村悠, 川崎祐美, 田中志穂, 笠井瑠美, 関藤孝之, 河田美幸
    • Organizer
      第91回日本生化学会大会
  • [Presentation] 出芽酵母Ypq2アルギニン/ヒスチジン交換輸送活性に対するPQモチーフ変異の影響評価2018

    • Author(s)
      原田悠希, 真鍋邦男, 池田紘一, 田中志穂, 佐藤明香音, 河田美幸, 関藤孝之
    • Organizer
      第91回日本生化学会大会
  • [Presentation] 酵母液胞膜タンパク質Ypq2による塩基性アミノ酸交換輸送について2018

    • Author(s)
      河田美幸, 真鍋邦男, 池田紘一, 原田悠希, 田中志穂, 柿沼喜己, 関藤孝之
    • Organizer
      日本生体エネルギー研究会第44回討論会

URL: 

Published: 2019-12-27  

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