2020 Fiscal Year Research-status Report
トランスクリプトームビッグデータ解析を活用した高油脂生産Coccomyxaの創生
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18K05561
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
笠井 由紀 中央大学, 研究開発機構, 専任研究員 (20416572)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 油脂蓄積 / ストレス応答 / 転写活性解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度にゲノム編集技術を利用して作成したDYRK破壊株のRNA-seq解析を行った。2020年度は、まずRNA-seqデータから油脂蓄積時に転写活性が野生株と比較して著しく上昇あるいは下降した遺伝子を選抜した。次いで、選抜した遺伝子の転写活性量の変化をリアルタイムPCR法で解析してRNA-seqの結果を確認した。 塩基配列から推測される遺伝子の機能を基に、油脂蓄積関連遺伝子の発現制御に関与していると考えられる遺伝子を検索したところ、油脂合成関連遺伝子の転写調節因子と考えられる遺伝子の転写活性が上昇していることを発見した。同時にストレス応答やシグナル伝達への関与が指摘されているプロテインホスファターゼ2C遺伝子(PP2C)の活性が抑制されていることも確認した。PP2CはDYRK破壊株やDYRK変異株で共通して転写活性が低下していることから、PP2Cの抑制と油脂合成関連遺伝子転写活性上昇が関連していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
緊急事態宣言によって研究に従事できる時間が減少したため、当初予定していたように研究を推進することができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究により、PP2C遺伝子が油脂蓄積に重要な働きをしていることが示唆された。PP2Cは生育に必須な遺伝子であることから、破壊株を作成することはできないと考えられる。よって、RNA干渉技術を利用して、PP2C発現量を抑制した株を作成し、油脂含量への影響を解析する。現在までにCoccomyxa株ではRNA干渉技術は確立されていない為、他の生物での例を参考に研究を進めることにする。RNA干渉株が作成できないときは、シグナル伝達でPP2Cの下流にあると考えられる遺伝子の過剰発現、あるいは破壊を行い、油脂蓄積の制御機構を解析する。
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Causes of Carryover |
2020年度はコロナウイルスにより、研究を進めることができなかったため予算が消化できず次年度に繰り越すことになった。 2021年度では、繰越金を実験計画に従って適正に使用する予定である。
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