2019 Fiscal Year Research-status Report
環状RNAの細胞内局在機構を明らかにし脳内環状RNAの謎に迫る
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18K05563
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
芳本 玲 藤田医科大学, 総合医科学研究所, 助教 (70595652)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | circRNA / 核外輸送 / 環状RNA / スプライシング / RNAプロセシング |
Outline of Annual Research Achievements |
次世代高速シーケンサーによるトランスクリプトーム解析によって、ヒトで数千種の環状RNA(circRNA)が組織・発生段階特異的に発現している事がわかってきた。興味深いことに、アルツハイマー病、ALSといった神経変性疾患、癌、アテローム性動脈硬化症において circRNAとこれら疾患との関係が相次いで報告されており、転写、スプライシング、翻訳レベルでの遺伝子発現を制御する新たなノンコーディングRNA群として世界的に注目されている。最近、申請者は小脳特異的に高発現するcircRNAであるciRS-7に注目し、その環状化機構を世界に先駆けて解明した。さらに、細胞質で機能するcircRNAが核外輸送されることを示したが、mRNAと異なり末端構造がないため、新奇の輸送複合体の存在が予想できる。疾患に関わるcircRNAの機能を明らかにするには、閉環状構造のRNAが、どうやって核外輸送され、細胞質で局在し、機能するのかを解明することが必須である。 本年度は新たに転写されたcircRNA(新生circRNA)を簡便に定量する実験系を開発した。そのうえで、circRNAの種類によって輸送経路が異なることを示した。さらに一部のcircRNAは未知の経路で細胞質へと核外輸送されていることを示唆する結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
circRNAの挙動を解析する際にはしばしばその半減期の長さのために実験的に成約を受けてきた。したがってcircRNAの核内プロセシングを調べる際、新生RNAの解析を行う必要があることが議論されている。新生RNA画分の精製は市販のキットを使う方法があるが、おおくは磁気ビーズによる精製を経るため作業が複雑であり、かつ定量性の担保に問題を感じた。そこで核酸アナログの一つである4-thio-Uridine(4SU)によるパルスラベルとRT-PCRを組み合わせ新生RNAを簡便に定量する実験系を作った。
前年度までの結果から、circRNAの一つであるciRS-7はmRNA輸送経路で核外輸送されることがわかっていたが、前述の実験系を用いた結果、すべてのcircRNAがmRNA輸送経路で輸送されるわけではないことがわかった。
そこで、circRNAの未知の輸送経路を知る目的で、circRNA結合因子あるいは既知の核外輸送因子に対するsiRNAを用いた小規模のsiRNAスクリーニングを行ったが、驚くべきことに、スクリーニング結果はすべてネガティブであった。したがって未知の輸送経路が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究結果は、circRNAの未知の輸送経路の示唆が得られたという点で研究の推進ができた。未知のcircRNA輸送因子の発見のため広範囲のスクリーニングを検討している。
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Causes of Carryover |
siRNAスクリーニングを遂行するうえで、次年度に当初以上の研究費が必要になったため。
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Research Products
(2 results)