2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K05571
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| Research Institution | University of Toyama |
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Principal Investigator |
山本 将之 富山大学, 学術研究部理学系, 講師 (10456402)
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| Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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| Keywords | リグナン / ゴマ / セサミノール / セサミン / セサモリン |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではゴマリグナンの生合成経路の解明を目的に、I. セサミノール含有形質に関与する新規遺伝子および、II. 総リグナン含有形質を制御する遺伝子の同定を試みた。
I. セサミノール低含有系統と高含有系統の交雑に由来する組換え自殖系統を用いたQTL-seq解析を行った。その結果、2か所のゲノム領域に原因遺伝子の座上する可能性が高いことを見出した。これら領域中で、種子中で主に検出されるセサミノールの配糖体である、セサミノールトリグルコシド (STG) の蓄積に関与する可能性のある遺伝子を探索し、STG高含有および低含有の個体の登熟種子を用いて発現解析を試みた。しかしながら、候補遺伝子の同定につながるような結果は得られなかった。この原因の1つとして、STGは播種から10週以上が経過した種子登熟の後期で蓄積するため、解析に用いた登熟種子サンプルの発育ステージを均一にすることが困難であったことが考えられた。
II. 前年度までに、総リグナン含量の決定に関与する可能性が高いNAC型転写因子について、低リグナン含有系統の有する変異型アレル（低リグナン型アレル）が、総リグナン含量の低下に関与していることが示された。本年度は、複数の高リグナン含有系統の当該遺伝子領域の塩基配列を決定し、中程度のリグナン含量を示す系統や低リグナン含有系統の配列と比較した。その結果、高リグナン含有系統では5'上流域に他の系統には認められない一塩基多型が存在することが明らかになった。高リグナン含有系統と中程度のリグナン含量を示す系統の交配に由来するF2集団を育成し、リグナン含量とアレル型を調査した。その結果、高リグナン型アレルを持つ個体はリグナン含量が高いことが示され、このアレルがリグナン含量を増加させる可能性が強く示唆された。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
I. セサミノール含有形質の解析に関しては、候補遺伝子の遺伝子発現解析に用いる材料に関して、前年度の反省に基づき室内で育成した個体から採取したサンプルを用いた。しかしながら生育後期での登熟種子のステージをそろえることは困難であり、原因遺伝子同定のために不可欠な発現解析を行うことができなかった。
II. 総リグナン含有形質の解析に関して、本年度は新型コロナ感染症の流行も一因となり、材料の育成や核酸抽出作業が大幅に遅れ、遺伝集団を用いたQTL-seq解析や、異なるリグナン含量を示す系統を用いたRNA-seq解析を行うことができなかった。
今後はこれらの今年度行えなかった解析を進め、両形質に関与する遺伝子の同定を進めていく予定である。
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| Strategy for Future Research Activity |
I. セサミノール含有形質の解析
セサミノールトリグルコシド（STG）が蓄積する登熟後期の種子ステージにおいて、高セサミノール含有系統と低セサミノール含有系統間で発現の異なる遺伝子を探索する。両系統間で発現の異なる遺伝子のうち、STG生合成に関与する可能性があり、本年度行ったQTL-seq解析により絞り込まれた原因遺伝子座上領域に存在する遺伝子を選び、RT-PCRによる種子登熟課程の発現パターンの調査、候補遺伝子産物の機能解析を行う。なお、発現解析に用いる材料については、室内もしくは人工気象室において多数の材料を育成し、リグナン蓄積パターンを指標によく似た生育ステージの登熟種子を選んで行う。
II. 総リグナン含有形質の解析
今年度までに同定したリグナン含量に関与する可能性の高い転写因子の発現やその標的遺伝子を調査するため、当該遺伝子のアレル型の異なる系統を用いて、登熟種子における網羅的な発現解析を行う。また、今年度育成した、リグナン含量が異なる系統間の交雑に由来するF2集団を用いてQTL-seq解析を行い、上記転写因子以外のリグナン総含量の決定に関与する候補遺伝子を探索する。
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| Causes of Carryover |
「現在までの進捗状況。」の項で述べたように、本年度は一部の解析を遂行することができなかった。そのため、それらの解析に用いる金額を次年度に繰り越した。
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