2020 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of seed detachment phenomenon in domestication using seed shattering gene in rice
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18K05575
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小西 左江子 (杉田左江子) 香川大学, 農学部, 准教授 (10574634)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 脱粒性 / Mutmap / NGS解析 / ゲノム編集 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
脱粒性とは、穂から種子が脱粒する性質であり、自然界では種子の拡散による繁殖戦略として重要な性質である。一方、作物として考えた場合、強い脱粒性は収穫量の減少につながることから、今日でも重要な農業形質の1つである。 今年度は以下の2つの項目について実施した。1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」:ガンマ線照射による変異体の中から選抜した脱粒性に関する突然変異系統を用いて、後代で表現型および遺伝子型の確認を行った。また、同時に野生型との交配および世代促進を行い、F2種子を得た。F2個体を栽培し、脱粒性の分離を調べた結果、表現型がおおよそ3:1に分離することが確認できた。そこで、F2個体のうち難脱粒性の表現型を示した個体由来のバルクDNAを作成し、次世代シーケンサー解析を用いてMutmap解析を試みた。現在、シークエンス解析データを用いて、候補遺伝子の原因変異の確認を行っているところである。候補遺伝子については、ゲノム編集を用いて、機能欠損型の変異体を作成し、非常に脱粒しやすい機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)に導入することにより、機能の証明を行う予定である。 2「脱粒性遺伝子qSH1のSNP改変による脱粒性への影響」:イネコアコレクションを用いたアソシエーション解析の結果から、qSH1遺伝子5'上流にあるqSH1のSNPは脱粒性の喪失と強い相関があることがわかっている。そこで、このSNPをゲノム編集により改変したイネを作出し、脱粒性や収量性への影響を調べる予定である。現在、ゲノム編集用のオールインワンベクターを作成中である。作成でき次第、qSH1の日本晴背景の準同質遺伝子系統であるNIL(qSH1)およびインディカ品種に導入する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」と2「脱粒性遺伝子qSH1のSNP改変による脱粒性への影響」について研究を実施した。1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」:ガンマ線照射による変異体の中から選抜した脱粒性に関する突然変異系統を用いて、後代で表現型および遺伝子型の確認を行った。また、同時に野生型との交配および世代促進を行い、F2種子を得た。F2個体を栽培し、脱粒性の分離を調べた結果、表現型がおおよそ3:1に分離することが確認できた。 2「脱粒性遺伝子qSH1のSNP改変による脱粒性への影響」:イネコアコレクションを用いたアソシエーション解析の結果から、qSH1遺伝子5'上流にあるqSH1のSNPは脱粒性の喪失と強い相関があることがわかっている。そこで、このSNPをゲノム編集により改変したイネを作出し、脱粒性や収量性への影響を調べる予定である。現在、ゲノム編集用のオールインワンベクターを作成中である。これらのことから、本研究課題は、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」については、ゲノム編集を用いて、候補遺伝子について機能欠損型の変異体を作成し、非常に脱粒しやすい機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)に導入することにより、機能の証明を行う。 2「脱粒性遺伝子qSH1のSNP改変による脱粒性への影響」については、ゲノム編集用のオールインワンベクターの作成を進め、作成でき次第、qSH1の日本晴背景の準同質遺伝子系統であるNIL(qSH1)およびインディカ品種に導入し、qSH1のSNP改変による脱粒性への影響を調べる。
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Causes of Carryover |
キャンペーン期間中に試薬が購入できたため、経費が抑えられたため。
最終年度のため、再現性の確認のための実験、論文の取りまとめ、学会発表等に関わる経費に使用予定である。
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