2021 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of seed detachment phenomenon in domestication using seed shattering gene in rice
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18K05575
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
小西 左江子 (杉田左江子) 香川大学, 農学部, 准教授 (10574634)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イネ / 脱粒性 / 離層 |
Outline of Annual Research Achievements |
脱粒性とは、穂から種子が脱粒する性質であり、自然界では種子の拡散による繁殖戦略として重要な性質である。一方、作物として考えた場合、強い脱粒性は収 穫量の減少につながることから、今日でも重要な農業形質の1つである。今年度は以下の3つの項目について実施した。1.「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」:ガンマ線照射による変異体の中から選抜した脱粒性に関する突然変異系 統を用いて、後代で表現型および遺伝子型の確認を行った。また、同時に野生型との交配および世代促進を行い、F2種子を得た。F2個体を栽培し、脱粒性の分離 を調べた結果、表現型がおおよそ3:1に分離することが確認できた。そこで、F2個体のうち難脱粒性の表現型を示した個体由来のバルクDNAを作成し、次世代シー ケンサー解析を用いてMutmap解析を試みた。現在、シークエンス解析データを用いて、候補遺伝子の原因変異の確認を行っているところである。候補遺伝子につ いては、ゲノム編集を用いて、機能欠損型の変異体を作成し、非常に脱粒しやすい機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)に導入することにより、 機能の証明を行う予定である。 2.「難脱粒性系統の脱粒性の定量化」:機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)とその難脱粒性変異体系統を用いて、出穂直後から収穫期までについて1週間毎に穀粒脱粒性試験装置を用いて脱粒性の定量を行った。3.「難脱粒性系統の組織解剖学的解析」:機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)とその難脱粒性変異体系統を用いて、出穂直後の種子基部の離層の組織解剖学的観察を行った。また、収穫後の穂を用いて電子顕微鏡により種子基部の微細構造を観察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理由 今年度は1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」と2. 「難脱粒性系統の脱粒性の定量化」3. 「難脱粒性系統の組織解剖学的解析」について研究を実施した。1. 「イネの新規脱粒性遺伝 子の探索」:ガンマ線照射による変異体の中から選抜した脱粒性に関する突然変異系統を用いて、後代で表現型および遺伝子型の確認を行った。また、同時に野 生型との交配および世代促進を行い、F2種子を得た。F2個体を栽培し、脱粒性の分離を調べた結果、表現型がおおよそ3:1に分離することが確認できた。 2. 「難脱粒性系統の脱粒性の定量化」:機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)とその難脱粒性変異体系統を用いて、出穂直後から収穫期までについて1週間毎に穀粒脱粒性試験装置を用いて脱粒性の定量を行った。その結果、コントロールの野生型と異なり、収穫期においても難脱粒性系統では脱粒しにくいことを数値化できた。 3. 「難脱粒性系統の組織解剖学的解析」:機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)とその難脱粒性変異体系統を用いて、出穂直後の種子基部の離層の組織解剖学的観察を行った。また、収穫後の穂を用いて電子顕微鏡により種子基部の微細構造を観察した。その結果、コントロールの野生型と異なる微細構造をしていることが明らかになった。 これらのことから、本研究課題は、概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、1. 「イネの新規脱粒性遺伝子の探索」について、候補領域の絞り込みを進める。候補領域がある程度絞り込めたら、ゲノム編集を用いて、コンストラクトの作成を行い、非常に脱粒しやすい機能型qSH1領域を含むイネ品種日本晴背景NIL(qSH1)に形質転換を行い、遺伝子改変を行うことにより、機能の証明を行う予定である。
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Causes of Carryover |
コロナ感染拡大防止のため、対面での学会参加がなくなり、出張経費を抑えられたため。最終年度のため、再現性の確認のための実験、論文の取りまとめ、学会発表等に関わる経費に使用予定である。
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