2019 Fiscal Year Research-status Report
冠水耐性遺伝子と浮稲性遺伝子を併せ持つ野生イネ種の洪水に対する応答
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18K05595
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
東 哲司 神戸大学, 農学研究科, 教授 (30231913)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笹山 大輔 神戸大学, 農学研究科, 助教 (20554249)
平野 達也 名城大学, 農学部, 教授 (30319313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 野生イネ / 洪水適応 / 冠水耐性 / 浮稲性 |
Outline of Annual Research Achievements |
アジア栽培イネ種であるOryza sativaにおいて浮稲性に関与することが明らかにされているSNORKELs (SKs) 遺伝子および冠水耐性に関与することが明らかにされているSUB1A遺伝子の双方を持つことが明らかになったアフリカ野生イネ種Oryza longistaminataにおける洪水適応性について調査した。 O. longistaminata の5系統を用いて浮稲性を調査するために,5 cm/dayの速度で水位上昇試験を行った。これらすべての系統は水没することなく生育を続けた。さらに,すべての系統で水位上昇条件で節間の伸長は促進され,O. sativa 浮稲品種よりも大きな節間伸長量を示す系統も存在した。これらの植物において,深水により節間においてSKs遺伝子の発現が誘導された。 また,O. longistaminata W1413を用い,節を含む切片の腋芽から完全葉を1枚あるいは2枚持つ植物体を育成し,それらを10日間冠水処理したところ,成長を止める個体と止めない個体に分かれることを観察した。その中で冠水後の気中栽培後に生存していた個体は冠水中に草丈を伸長させた個体であることを見いだした。冠水により,植物体の基部においてSUB1A遺伝子の発現は誘導された。 O. longistaminata の自生地はアフリカであるが,アフリカには栽培種O. glaberrima が存在し,その中にSUB1A遺伝子を有する系統があることを発見した。しかしながら,O. glaberrimaの野生祖先種とされるO. barthii の中にはSUB1Aが存在するものは見いだせなかった。それゆえ,このSUB1A遺伝子はO. longistaminataに由来する可能性が考えられたが,配列を調査した結果O. sativaの配列と同じであることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AAゲノムを持つ5種の野生イネ103系統のDNAを分析した結果, SUB1AとSK1/2遺伝子を併せ持つ系統がO. rufipogon, O. longistaminata,O. meridionalis に複数系統存在することを明らかにしていたが,これが野生イネ全般にいえることなのかどうかを調査するため,さまざまなゲノム組成の野生イ ネとO. glaberrima を含む220系統を用いて,SUB1AとSK1/2遺伝子をさらにスクリーニングした。O. glaberrimaの1系統において,冠水耐性遺伝子OsSUB1Aと配 列が全く同じSUB1A遺伝子を持つものが発見され,この遺伝子の機能について解析を行った。これらの調査は当初の予定になかったため,少し研究が遅れ気味で あったが,現在では概ね順調に進展している。 O. longistaminataの浮稲性と冠水耐性に関して特徴づけ,SUB1A遺伝子とSK1/2遺伝子の発現に関しての調査を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
SUB1AとSK1/2遺伝子を併せ持つと考えられるO. meridioalisとO. rufipogonのいくつかの系統について2019年度に種子増殖が成功したので,2020年度はこれらの種子を用いてこれらの系統の浮稲性と冠水耐性の調査と関連遺伝子の発現解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
十分な種子数が得られなかったため,Oryza rufipogon とOryza meridionalis の研究は次年度行うことに変更した。そのため,翌年度分として請求した助成金と合わせて使用することとした。
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Research Products
(1 results)