2018 Fiscal Year Research-status Report
オオムギの高度耐雪性とフルクタン含有量及びフルクタン関連遺伝子多型の関係解明
Project/Area Number |
18K05604
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
中田 克 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 研究員 (60649862)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オオムギ / フルクタン / 耐雪性 / DNAマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
国産六条オオムギの一大産地である北陸地域を含む寒冷地では、長期にわたる根雪下でも生存しうる高度な耐雪性を備えたオオムギ品種が必要である。このようなオオムギ品種を効率的に育成するためには、耐雪性を判別するためのDNAマーカーが重要となる。コムギ等では茎葉に蓄積する非構造性炭水化物であるフルクタンの含有量と耐雪性の関係が知られているが、オオムギでは耐雪性とフルクタンの関係は未解明である。そこで本研究ではオオムギの耐雪性およびフルクタン含有量の品種間差異の関係を遺伝子レベルで明らかにし、それを基に高度耐雪性オオムギを判別するためのDNAマーカーを作製することを目的とする。本年度は国内外の約120品種・系統を積雪量および根雪期間の異なる2地点(上越市高田地区、妙高市関山地区)において栽培し、融雪後の茎葉の枯死の状況等から耐雪性を評価した。供試品種・系統のフルクタン関連酵素遺伝子群(1-FFT, 1-SST, 6-SFT, 1FEH, 6-FEH)の部分塩基配列を決定し、それぞれ10, 10, 10, 6, 9の遺伝子型に分類されることを明らかにした。特にフルクタン分解酵素遺伝子(1-FEH)の遺伝子型と育成地域に強い関連が見られた。また、フルクタン合成と分解の程度の品種・系統間差異を明らかにするため、根雪直前と融雪直後の茎葉をサンプリングした。現在、これらのサンプルのフルクタン含有量を測定している。今後はフルクタン含有量およびその根雪下での推移と遺伝子型の関係を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年播きサンプルの栽培、茎葉のサンプリングおよび耐雪性評価を当初予定通り行うことが出来た。供試品種・系統のフルクタン合成酵素遺伝子群だけでなく分解酵素遺伝子群の塩基配列の決定まで行った。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度栽培の根雪前後の茎葉サンプル(約800サンプル)のフルクタン含有量の測定を行う。2018年度と同様に供試品種・系統を栽培し、サンプリングおよび耐雪性評価を行う。さらにフルクタン合成酵素遺伝子の発現制御因子であるMYB13についても遺伝子型を決定し、茎部におけるフルクタン合成酵素遺伝子の発現量との関係を解析する。
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Causes of Carryover |
消耗品が当初計画より安価に購入でき、外部委託したDNAシーケンス分析のサンプル数も少なく済んだため、残額が発生した。次年度使用額は本年度サンプルのフルクタン含有量を測定するための人件費等に使用する。
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