2019 Fiscal Year Research-status Report
Studies on the masculinization mechanism of spinach.
Project/Area Number |
18K05609
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
小野寺 康之 北海道大学, 農学研究院, 講師 (80374619)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
星野 洋一郎 北海道大学, 北方生物圏フィールド科学センター, 准教授 (50301875)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ホウレンソウ / 雌雄異株 |
Outline of Annual Research Achievements |
ホウレンソウは雌雄異株作物として知られるが,実際には雄株および雌株の他に間性株も見られる.これまでに筆者は,雄決定候補遺伝子および間性候補遺伝子としてY-orfおよびM-orfを同定した.さらび,これまでに行った発現解析から,Y-orfはM-orfの活性化に関与し,M-orfは雄株および間性株における雄性器官形成に関与する可能性が示唆されている.令和元年度は,M-orfの詳細な発現解析を行い,当該遺伝子が性決定遺伝子として機能する可能性の検証を試みた.その結果,M-orf1は栄養器官の葉および茎では発現しておらず、花における発現が確認された.さらに,雄花におけるM-orf1発現量は,両性花および雌花と比べて顕著に高く,雄花器官の中では雄蕊における発現が高いことが明らかになった.以上の結果から,M-orf1が雄性器官形成を通じて,性決定に関与する可能性が強く示唆された.次に,雄株のトランスクリプトームデータを用いて、遺伝子発現プロファイルのクラスタリング解析を行い,M-orf1およびY-orfと類似した発現パターンを示す遺伝子の抽出を試みた.M-orf1が分類されたクラスターの遺伝子群には,Bクラスに分類される花器官形成遺伝子SpPIおよびSpAP3に加えて,花粉壁の形成に関わるスポロポレニン合成関連遺伝子が含まれていた。一方、Y-orfを含むクラスターには花芽の分裂組織形成に関わるSpLFYが含まれていた。最近、ホウレンソウのBクラス遺伝子が雌蕊形成抑制機能を担う可能性が示されており、一つの可能性としてM-orf1がBクラス遺伝子の発現の活性化を介して雄性化/雌性抑制に寄与していることが考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定どおりに,M-orfの詳細な発現パターンを明らかにした.さらに,トランスクリプトームの情報解析によって,性決定におけるM-orfの役割の解明につながる知見が得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
性決定候補遺伝子(M-orfおよびY-orf)の時空間的発現パターンをより詳細に明らかにするために,in situ hybridizationを実施する.さらに,M-orfおよびY-orfのノックダウンを行い,両遺伝子の機能評価を試みる.
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Research Products
(7 results)