2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K05619
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
中野 道治 広島大学, 理学研究科, 特任助教 (40705159)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
草場 信 広島大学, 理学研究科, 教授 (20370653)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キクタニギク / 自家和合性 / マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
キクは高次倍数性、自家不和合性が障害となり重要形質の遺伝学的研究は進んでいない。二倍体野生ギクであるキクタニギクのAEV2系統に発見された自家和合性変異はキク属の遺伝学研究を可能にする重要な遺伝子資源であり変異のメカニズム解明は、キク属の自家不和合性システムの理解、栽培ギクの新たな育種手法の開発へとつながる。本課題では、キクタニギクモデル系統、全ゲノムドラフト配列、連鎖地図などのゲノム基盤を活用し、AEV2が有する自家和合性変異について解析を行う。ポジショナルクローニングを中心として候補遺伝子同定に迫り、併せて発現解析や相補性検定を行って機能解析を行うことで分子機構の解明を目指す。3年間の計画を通じて原因変異の同定に迫るため、今年度は以下の内容で研究を進めた。 1)解析集団の育成:研究開始の段階で和合性と不和合性が明確に分離する分離集団を得ていた。この集団のうち不和合性を示す系統に対して、自家和合性のモデル系統を用いた戻し交雑を繰り返すことでBC2F1集団を育成した。 2)和合性変異遺伝子のマッピング:以前に和合性に連鎖することが示されたSSRマーカーについてBC2F1集団を用いてマッピングを行ったところ、以前にマップされた領域に和合性遺伝子座が位置することが確認された。これまでに140系統の戻し交雑集団を用いて解析を行ったが、自家和合性の原因遺伝子を単一の連鎖群上に位置付けることができた。 3)ゲノム情報を活用した解析:キクタニギクの全ゲノム配列決定の論文が公表され、ゲノム配列及び遺伝的連鎖地図の情報が利用可能となった。このことから原因遺伝子候補領域周辺のSSRマーカーを新たに追加して解析を行うことでマーカー高密度化を目指した。その結果、原因遺伝子座を16個のSSRマーカーを用いてマッピングすることができ、連鎖マーカーの内、6個が完全連鎖するという結果を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年間の計画において原因遺伝子候補の絞り込みに到達するためには、分離集団の育成と原因遺伝子座のマッピングを順調に進めることが最重要となる。初年度の計画においては、当初の計画通りにBC2F1集団が育成され、単一の連鎖群にマッピングを行うことができたため、計画は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおりに戻し交雑集団の世代を進めていく。昨年度の栽培において、BC1F1集団の不和合性・和合性個体の柱頭及び花粉をサンプリングしたが、これらの組織を用いてRNA-seq解析を行い、不和合性・和合性の間で異なって発現を示す遺伝子群の同定を目指す。キクタニギクの自家和合性変異系統AEV2及び不和合性の野生系統について全ゲノムのリシークエンス解析を行い、変異部位をリスト化すると共にアノテーションを行うことで、自家和合性変異候補部位を抽出する。
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Causes of Carryover |
当初の計画では、本予算において解析用のコンピュータを初年度に購入することとしていたが初年度には購入しなかったため、相当額が次年度使用額となった。今年度以降にコンピュータを購入する計画である。
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