2020 Fiscal Year Research-status Report
少低温要求性で早生のモモの育種とその効率化ならびに産物の活用
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18K05621
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
別府 賢治 香川大学, 農学部, 教授 (30281174)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 低温要求量 / モモ / 果実品質 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までに、多低温要求性品種(900-1000CH前後)と小低温要求性品種(100-200CH前後)の交配で得られた中低温要求性品種(400-500CH前後)で早生の‘KU-PP1’、‘KU-PP2’および他の選抜系統(HFP1など)を用いて、自家受粉ならびに他家受粉を行って得られた種子について、胚培養により実生を獲得し、鉢に移植して研究圃場で育成した。本年度はこれらの個体の低温要求量と萌芽時期、開花時期、収穫時期、果実品質などを調査した。低温要求量は、少低温要求性品種と同程度のかなり短いものから、多低温要求性品種と同程度の長いものまで大きく分離した。目的とする低温要求量がかなり少なく早生で果実品質の優れる個体がいくつか得られたので、これらを鉢より大きいコンテナに移植した。次年度も継続してこれらの形質を調査する予定である。一方、‘KU-PP1’、‘KU-PP2’の活用の可能性拡大を目的として、これら品種の果実サイズの小ささを栽培技術により克服するために、いくつかの処理を試みた。開花時やその後の植物ホルモン(ジベレリン、サイトカイニン)の処理では、果実サイズに大きな変化は見られなかった。果実発育期におけるカリウムの葉面散布や光合成促進剤の葉面散布により、果実サイズの増加や糖度の上昇が確認された。次年度も同様の処理を行って、再現性を調べる予定である。また、‘KU-PP1’、‘KU-PP2’の収穫適期についても検討した。他に、ハウス栽培における果実発育期の温度管理を考えるため、果実発育期に鉢植えの‘KU-PP2’個体を20~30℃の人工気象室で栽培した。30℃の高温では光合成速度が低下し、果実サイズや糖度が減少したことから、本品種ではハウス栽培における換気の設定温度をやや低めにすることが望ましいことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究室の所属学生がかなり精力的にこれに関する研究を行っているため、順調に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
新たに本年度初結実が見込まれる多くの個体についても、低温要求量や生育時期、果実形質などの調査を行い、低温要求量が少なく果実品質に優れるものを選抜する。少低温要求性品種の果実肥大促進のための効果的な栽培技術について引き続き検討する。
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Causes of Carryover |
参加を予定していた国内外の学会がキャンセルまたはオンライン開催となり、交通費や大会参加費の支払いが無くなったことが一因である。次年度は修士課程の学生が一人増えて、実験の規模を少し拡大するので、これに使用する予定である。
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Research Products
(3 results)