2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K05629
|
Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
札埜 高志 兵庫県立大学, 緑環境景観マネジメント研究科, 講師 (40314249)
|
Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 竹パウダー配合土 / 土壌分析 / 微生物相 / 点滴潅水施肥 |
Outline of Annual Research Achievements |
竹パウダーは園芸培養土としての基礎資料を得るために,竹パウダーおよび竹パウダーを配合した培養土の物理性および化学性を調査した.モウソウチクから作出した竹パウダーの主な成分は,全窒素0.3%,全リン酸0.13%,全カリ0.3%,全カルシウム0.13%,全マグネシウム0.13%,有機炭素44.76%であり,炭素/窒素比は149.22であった.竹パウダーを60%配合した培養土の陽イオン交換容量(CEC),交換態カルシウム濃度および交換態マグネシウム濃度は,慣行の園芸培養土よりも小さい値を示した.竹パウダー60%配合土のCECの値は慣行の園芸培養土の26%であった.また,三相分布,pHおよびECには両培養土間で有意差はみられなかった. 未発酵竹パウダー配合土,発酵竹パウダー配合土の微生物相を調査したところ,それぞれ乳酸球菌およびErythrobacteraceae科グラム陰性好気性非芽胞形成光合成桿菌が最も多くみられた.慣行の園芸培養土ではバシラス属のグラム陽性桿菌が多くみられる傾向があった. 慣行配合土と頭上灌水で栽培したダイアンサスのサイズを基準とした場合,点滴潅水施肥を行った慣行配合土,竹パウダー30%配合土,竹パウダー70%配合土および竹パウダー100%で栽培した株のサイズはそれぞれ,基準の株のおよそ4.5倍,2.5倍,1.8倍および1.4倍であった.培養土の竹パウダー配合率が高くなるに伴い,株サイズは小さくなった.開花数は慣行の園芸培養土と竹パウダーを配合した培養土との間に有意差はなかった.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画の「実験1. 培養土として最適な竹パウダーの特性」,「実験2. 物理化学特性と植物成長阻害物質の推定」および「実験3. 生物相の変化」に関しては概ね計画通りに進んでいる.ただし,植物成長阻害物質の有無に関しては明らかにできなかった.次年度は竹パウダーへの熱湯処理やアルカリ処理以外の手法を検討する.また,土壌の生物相の調査はばらつきが大きいと思われたので,次年度も同様の調査を繰り返し行う予定である.これらの研究成果は,次年度の園芸学会秋季大会にて発表する予定である.
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでは主にフレンチマリーゴールドおよびダイアンサスを材料として実験を行った.今後は得られたデータを元に竹パウダー配合土で栽培できる品目を拡大するために,いろいろな花き鉢ものおよび鉢植えの野菜を栽培し,それぞれの品目に対応した栽培方法を確立する. また,淡路市の竹林所有者,竹資源活用企業および花き生産者と協働して,竹パウダーの培養土利用の実証試験を行う.淡路市をモデルにして,事業として成り立つための条件(竹林の立地条件、品目、栽培方法および価格帯など)を検討する.
|
Causes of Carryover |
超微量分光光度計(ASONE K2800)を購入予定であったが,複数の販売店から,この機種は不適切であるとの助言を得たので購入を中止した.代替器の選定に時間がかかり,今年度中に発注することができなかったため,次年度への繰越金が発生した.次年度には超微量分光光度計を購入する予定である.
|