2018 Fiscal Year Research-status Report
トマトの花成におけるオーキシンの役割と花成調節技術への応用
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18K05630
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
中川 理絵 (菊地理絵) 神奈川大学, 工学部, 准教授 (70620227)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡本 専太郎 神奈川大学, 工学部, 教授 (00201989)
嶋田 幸久 横浜市立大学, 木原生物学研究所, 教授 (30300875)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | オーキシン |
Outline of Annual Research Achievements |
日本においてトマトは、消費者の人気が高く、重要な園芸作物である。トマトの生産現場では個体間で着果位置を揃える技術や花成時期斉一性の向上、第1花房までの花成促進による収穫サイクルの短縮化などが求められている。花成(花芽の分化)のしくみの解明はその一助となる。申請者らは、植物ホルモンの一つであるオーキシン(インドール-3-酢酸:IAA)の生合成や阻害剤に関する研究をおこなってく中で、ある化合物をトマトに処理すると花成が早まることを発見した。本研究は、トマトの花成におけるオーキシンの役割を明らかにすることを目的に行っている。 本課題では、阻害剤の効果がより早く明確に得られるように、トマトの地下部に阻害剤を処理した後に子葉上部(本葉と茎頂)を切断し、腋芽を観察するという実験系を構築した。この方法では、阻害剤処理個体で約1ヶ月後に花芽の形成が確認できる。花芽形成までの葉の枚数は、コントロール個体が約7枚に対して処理個体では約3枚である。また、腋芽から出現する葉は、コントロール個体では複葉となるが、阻害剤処理個体では単葉となる。 これまでの研究により、ある化合物をトマトに処理すると極めて早期に花成が起こること、このときトマトのIAA応答遺伝子の発現量が減少することを確認している。当該年度では、化合物処理個体におけるIAA内生量の定量を行い、化合物処理によってIAA内生量だけでなく、主要経路の中簡体の内生量も減少することを確認した。一方で、花成関連遺伝子の探索および新たな化合物の合成も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
合成した化合物について、シロイヌナズナを用いたスクリーニングは行ったが、トマトに処理するまでには至らなかった。その他の申請時計画していたことはほぼ達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
トマトを用いて合成した化合物のスクリーニングを行う。花成関連遺伝子の発現解析およびIAA生合成主経路ではたらく酵素をトマトから単離し、in vitroでの酵素活性試験等を行う。
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Causes of Carryover |
本年度実行できなかった研究を次年度に行うため、その物品購入費として次年度使用額が生じた。
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