2018 Fiscal Year Research-status Report
ラベンダーの精油生産におけるモノテルペン化合物生産ネットワークの解析
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18K05631
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Research Institution | Meijo University |
Principal Investigator |
津呂 正人 名城大学, 農学部, 教授 (40410774)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ラベンダー / モノテルペン / siRNA / モノテルペンネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
1.モノテルペンネットワークに関与する化合物の同定と遺伝子の発現解析 当研究室で保有しているsiRNA誘導型リナロール合成酵素遺伝子導入形質転換体で、葉の精油成分について標的とするリナロールのみならず、他の精油成分も著しく生産が抑制されている個体について、既知のモノテルペン合成酵素遺伝子(リモネン、1,8-シネオール、カンファー、3-カレンおよびフェランドレン)の発現を解析したところ、いずれの遺伝子についても発現が著しく抑制されていた。一方、モノテルペン化合物の前駆体であるゲラニルピロリン酸(GPP)を合成するMEP経路に関わる既知の遺伝子はGPP前駆体であるイソペンテニル二リン酸およびジメチルアリル二リン酸までいずれも強い発現が認められており、これら化合物からGPPに至る過程で強い生産抑制が生じている可能性が示唆された。 2.モノテルペンネットワーク非依存型化合物の同定と生産量を調節する因子の解明 当研究室で保有しているsiRNA誘導型1,8-シネオール合成酵素遺伝子導入形質転換体において、葉の精油成分について1,8-シネオールのみが著しく抑制された個体が2個体認められた。これらの個体では1,8-シネオール合成酵素遺伝子(CINS)の著しい発現抑制が認められ、標的遺伝子のみが発現抑制されることが明らかとなった。これら個体では精油組成比が親個体と大きく異なり、香調に変化が生じていることが示唆された。 一方、形質の大きく異なる2品種を交雑したF2分離集団を播種し、1年間育成した。これら個体について、現時点では精油成分および多型解析することのできる十分な大きさになるまでに至っておらず、育成を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現時点において、当初の計画していた解析は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
1.モノテルペンネットワークに関与する化合物の同定と遺伝子の発現解析 引き続き、siRNA誘導型リナロール合成酵素遺伝子を導入した形質転換体を用いて、春化処理を行い、花器官での精油生産形質について精油成分の分析および遺伝子発現の解析を進める。 2.モノテルペンネットワーク非依存型化合物の同定と生産量を調節する因子の解明 引き続き、siRNA誘導型1,8-シネオール合成酵素遺伝子を導入した形質転換体を用いて、春化処理を行い、花器官での精油生産形質について精油成分の分析および遺伝子発現の解析を進める。また、F2分離集団については、AFLPおよびSSRマーカーを用いて連鎖地図を作成し、精油成分の生産形質についてQTL解析を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度末に予定していたF2分離集団を用いた連鎖地図作成について、植物体の成長に若干の遅れが認められ、年度内での解析が行えなかったことからこれに要する消耗品および試薬類の購入を行わなかったため、次年度に繰り越した。
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