2019 Fiscal Year Research-status Report
Attempt at identifying the male-sterile gene derived from Satsuma for efficient seedless citrus breeding.
Project/Area Number |
18K05635
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (60433215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カンキツ / 雄性不稔性 / DNAマーカー / ゲノム解読 |
Outline of Annual Research Achievements |
去年度の結果により、MS-P1領域近傍のCitAMS1が原因遺伝子の最有力候補ではないことが示唆されたため、アプローチ2は中止することとした。そのため、アプローチ1に絞って、研究を進めた。去年度までに、親子関係が正しく示された9マーカー(SSR_00918-1、SSR_00918-2、SSR_00616-1、SSR_01072-1、SSR_00783-1、SSR_00512-2、SSR_00225-1、SSR_00251-1、SSR_00682-2)を作製している。新たに8マーカーを作製し、そのうち3マーカー(SSR00220-1、SSR00220-4、SSR02974-2)は波形ピークが明瞭に生じ、正しく親子関係が示された。そこで、これら9マーカーと3マーカーで興津46号×興津56号の交配集団のジェノタイピングを行い、Goto et al PLOS ONE 2018でのデータと合わせ連鎖地図を作製したところ、SSR_00682-2を除くすべてのマーカーがMS-P1領域とその近傍にマップした。続いて、QTL解析を行ったところ、MS-P1はSSR00220-1とNSX132の間に検出され、その領域を2.7cM(物理距離にして1.3Mb)にまで絞り込むことができた。SSR00220-1とNSX132の間に位置するSSR00918-1とSSR00918-2にQTLのピークが検出された。4つの交配集団におけるMS-P1領域のファインマッピングの結果から、SSR00918-1とSSR00918-2は雄性不稔性と極めて強く連鎖しており、育種選抜に有効であることが示された。しかし、この領域は組換えが抑制されており、原因遺伝子が存在している場所をこれ以上絞り込むことが難しいことも判明した。そこで、計画を変更し、強い雄性不稔性を持ち、MS-P1領域がホモ化している選抜系統(KyOw14)と雄性稔性品種(‘不知火’)のMS-P1領域の塩基配列解読を次世代シークエンサーによって行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度の研究の結果から、当初想定していたCitAMS1が雄性不稔性原因遺伝子ではないことと、カンキツの雄性不稔性は細胞質雄性不稔と核の稔性回復遺伝子によるモデルとよく一致することが示唆された。そのため、原因遺伝子は、稔性回復遺伝子として知られているPPR遺伝子のホモログである可能性がある。しかし、MS-P1領域にはPPRホモログが多く存在しているため、公開データベースを使った原因遺伝子の探索が難しい。また、MS-P1領域のファインマッピングの結果から、この領域は組換えが抑制されており、原因遺伝子が存在している場所を絞り込むことが難しい。そこで、今年度は計画を大きく変更し、強い雄性不稔性を持ち、MS-P1領域がクネンボ由来でホモ化している選抜系統(KyOw14)と雄性稔性を持ち、MS-P1領域がクネンボとポンカン由来のヘテロとなっている品種(不知火)を供試し、MS-P1領域の次世代シークエンサーにより塩基配列の解読を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、KyOw14と不知火を供試したMS-P1領域の次世代シークエンサーによる塩基配列データを解析し、InDelやSNPを同定する。また、解読した領域のPPRホモログを探索し、InDelやSNPデータと合わせて、雄性稔性原因遺伝子候補を絞り込むことを計画している。これらの結果を取りまとめ、成果の発表を行う。
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Causes of Carryover |
今年度は研究計画を変更し、前倒しした予算と今年度の予算を用いて、次世代シークエンサーによる雄性不稔性領域のゲノム解読を行った。その際、外部委託する業者を精査することで、当初の予定よりも少ない金額でゲノム解読ができた。そのため、次年度使用額が生じている。この予算は次年度の論文投稿代に用いる予定である。
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