2020 Fiscal Year Annual Research Report
Attempt at identifying the male-sterile gene derived from Satsuma for efficient seedless citrus breeding.
Project/Area Number |
18K05635
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
後藤 新悟 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 果樹茶業研究部門, 上級研究員 (60433215)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カンキツ / 稔性回復遺伝子 / 種なし / RNAseq / DNAseq / CMS雄性不稔 / DNAマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
1~2年目までの研究結果から、当初想定していたCitAMS1が雄性不稔性原因遺伝子ではないこと、雄性不稔性発現にはキシュウミカン由来細胞質が必要であり、かつMS-P1領域のディプロタイプによって決定されることが示された。アブラナ科作物における雄性不稔性研究の知見と合わせて考察すると、カンキツ雄性不稔性においては、ミトコンドリア側の雄性不稔性原因遺伝子とそれに対する核側の稔性回復遺伝子の存在が示唆される。また、ファインマッピングを進め、MS-P1領域を物理地図上で1.3Mbにまで絞り込むことができた。この領域は組換えが抑制されており、現在の研究材料では遺伝子の同定に至るまでMS-P1領域を絞り込むのは難しい。そこで、研究計画を変更し、雄性不稔性選抜系統であるKO14と稔性回復品種である不知火の網羅的な遺伝子発現解析(RNAseq)とMS-P1領域のゲノム配列のリシークエンスを行った。 最終年度ではファインマッピングを進めるのと同時に、RNAseqとリシークエンスデータの解析を進めた。まず、ファインマッピングを進め、MS-P1領域を物理地図上で約920kbにまで絞り込むことができた。この領域には、アブラナ科作物における雄性不稔性研究の知見から、稔性回復遺伝子候補として考えられうる遺伝子が9つ存在していた。RNAseqの解析を行ったところ、不知火と比較し、KO14では9つの候補遺伝子のうちの一つの遺伝子(MS-P1-1)の発現が有意に低かった。リシークエンスによるKO14と不知火のMS-P1領域のゲノム配列を比較した結果、KO14において、MS-P1-1のプロモーターには4か所の欠損が見つかった。以上の結果はMS-P1-1が有力な稔性回復遺伝子候補であり、KO14においてはプロモーター領域の欠損によって、遺伝子発現が低下し、雄性不稔性になっている可能性を示す。
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