2019 Fiscal Year Research-status Report
Study on uncovering genetic control system for fruit pericarp pigmentation of cultivated strawberry using multi-parent generation advanced cross population
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18K05639
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Research Institution | Fukuoka Agricultural and Forestry Research Center |
Principal Investigator |
和田 卓也 福岡県農林業総合試験場, 生産環境部, チーム長 (90502435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 祥子 公益財団法人かずさDNA研究所, 先端研究開発部, 室長 (20343973)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イチゴ / ゲノム / 果皮色 / 遺伝子発現解析 / アントシアニン |
Outline of Annual Research Achievements |
栽培イチゴ6品種を交配親とする多元交雑集団(IC2世代)を用いて、果実色の品種間差に寄与する原因遺伝子特定のため、RNA-seqにより果実色の違いに対応した発現変動を示す遺伝子の同定を試みた。本研究では、スプライシングバリアントを検出するために、多元交雑集団の親品種のRNA由来のcDNAを用いて、Iso-seqにより参照配列の構築を行った。その後、福岡S6号(果実色:濃赤色)、かおり野(同橙赤色)、おおきみ(同橙赤色)の3品種および果実色に差のあるIC2世代の個体群を用いてRNA-seqを実施した。アントシアニン合成関連遺伝子、およびアントシアニン合成に関与すると考えられるアブシジン酸シグナル伝達関連遺伝子に着目したところ、15遺伝子で福岡S6号、かおり野、おおきみで発現量の差が認められた。さらにリアルタイムPCRによりIC2個体群で発現量の差をみたところ、F3HとGT1について果実色の濃淡の差に対応した有意な発現量の差を確認した。F3Hは様々な芳香族化合物の前駆体のナリンゲニンからアントシアニンの直接的な前駆体であるジヒドロフラボノールを合成する反応を触媒する酵素である。またGT1はアグリコンとしてのアントシアニジンに糖を付加して配糖体を合成する反応を触媒する酵素で、いずれも果実における発色に強く関与していることが示唆される。一方、昨年と同様にABI3などアブシジン酸シグナル伝達関連遺伝子には有意な差が認められなかった。またイチゴも含めたバラ科作物およびブドウの着色に関連する転写因子MYB10についても、同様に発現量に有意な品種間差は認められていない。今後はF3Hについて、RNAiによるトランジェントアッセイを行い、同遺伝子がイチゴの果実色の発現に主導的に寄与していることを実証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、果実色の品種間差に関係する原因遺伝子としてアントシアニン合成系の下流に位置するF3HとGT1を同定できている。今後はRNAiにより原因遺伝子の効果を実証する。
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Strategy for Future Research Activity |
遺伝子発現解析で見出した原因遺伝子候補から、RNAiによる遺伝子ノックダウンで遺伝子の効果の実証を進める予定。またRNA-seqではcDNAへのマッピングを行ったが、別途ゲノム参照配列へのマッピングも行い、原因遺伝子の座乗染色体を同定する。同染色体情報と、これまでにGWASで同定した果実の着色に関するQTLの位置情報を比較して、イチゴの着色に関連するゲノム情報をとりまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
イチゴは年度をまたいで栽培・調査を行う作物であり、前年度に収穫した果実の発現解析を翌年度に実施するため、予算の一部を繰り越している。
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