2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of QoI resistant mutation mechanism in rice blast fungus
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18K05640
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
曾根 輝雄 北海道大学, 農学研究院, 教授 (00333633)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿部 歩 北海道大学, 農学研究院, 技術専門職員 (70374626)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イネいもち病 / 薬剤耐性 / QoI / 突然変異 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,イネいもち病菌におけるストロビルリン系殺菌剤(QoI剤)耐性変異の発生,遺伝,蔓延のメカニズムを明らかにすることで,薬剤の導入→耐性菌の発生→新薬剤の導入の「いたちごっこ」からの脱却を目指すことを目的としている. まず,mtDNA cytbコドン143変異の発生とDNA損傷乗り越え合成の関係の解析のため,いもち病菌のオルタナティブオキシダーゼの欠損株の作成を行った.2回相同組換えにより遺伝子の破壊に成功した.野生株であるIna86-137に加え,損傷乗り越え合成系(TLS)に関与するDNAポリメラーゼζ(ゼータ)遺伝子(REV3, REV7), デオキシシチジルトランスフェラーゼ遺伝子(REV1), それぞれの欠損変異株との2重欠損変異株を得た.オルタナティブオキシダーゼ欠損株を用いて,mtDNA cytbコドン143変異の誘導を行った.通常の培養条件では誘導出来ず,紫外線照射など変異原を処理して誘導を試みている.今後は,実際にcytbコドン143変異の誘導率の計測を行い,DNA損傷乗り越え合成の関係を明らかにしたい. GFPによりミトコンドリアを可視化した菌株を用いて,分生子をレーザー走査型共焦点顕微鏡で観察し,3次元画像を再構築した.その結果,イネいもち病菌の分生子内のミトコンドリアは点状,管状,網状など様々な形態をとることがわかった.また,菌糸先端でも点状のミトコンドリアが見られた.以上のことから,形成初期の分生子には少数の点状の分生子が分布し,それが形成過程の進行と共に網状となることが示唆された.分生子形成時にホモプラスミー化するという昨年度の観察結果を裏付ける可能性を示す観察結果である. 今後は,分生子形成初期のミトコンドリアの定量を行い,どのようにミトコンドリアが伝播するかを明らかにしたい.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
オルタナティブオキシダーゼ変異株の取得が出来たことで,Cytb 変異の誘導が出来ることを期待している,突然変異率が測定出来れば,概ね予定通りと判断できたがそこまでは至らなかった. GFPによるミトコンドリアの可視化については.共焦点顕微鏡を用いて観察することが出来ているが,その分生子内のミトコンドリアの量は常に変化しており,なかなか捉えることが出来ていない.
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Strategy for Future Research Activity |
Cytb変異の変異率を測定し,その変異への損傷乗り越え合成の関与を明らかにする. プロトプラスト融合により作成した変異・野生ミトコンドリアを併せ持つ株について,その比率の変化と,分生子形成によるホモプラスミー化を数的に把握する.一方,ミトコンドリアの分生子への伝播のメカニズムを明らかにし,分生子形成がQoI変異の伝播に重要な役割を果たしていることを明らかにする.
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Research Products
(2 results)