2018 Fiscal Year Research-status Report
イネ白葉枯病抵抗性機構に重要な新規ジャスモン酸シグナル伝達複合体の解明
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18K05648
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
五味 剣二 香川大学, 農学部, 准教授 (50511549)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ジャスモン酸 / イネ病害抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、初期の研究計画時に設定した2つの研究小課題について、いずれも計画通りに研究が進み、成果を得ることができた。具体的には以下のとおりである。 1.新規OsNINJA1相互作用タンパク質OsSRO1aの解析 まず、OsSRO1a解析の基礎となるOsNINJA1に関する研究成果をまとめた論文が国際誌に掲載された。OsSRO1aに関しては、まず、ジャスモン酸(JA)処理後のOsSRO1a遺伝子の発現挙動を解析したところ、処理後24時間後にその発現量のピークが来ることが明らかとなり、JA後期応答性の遺伝子であることが明らかとなった。次に、OsSRO1a過剰発現体を用いたJA感受性試験を行ったところ、JAに対して非感受性の表現型を示すことが明らかになった。また、OsSRO1a過剰発現体はJAによって誘導されるイネ白葉枯病に対する抵抗性が誘導されなかった。さらに、本過剰発現体はJA依存性の老化応答も抑制されていた。また、本過剰発現体では、OsMYC2応答性遺伝子のJAによる発現誘導が見られなかった。これらの結果より、OsSRO1aはイネにおいて、JAシグナルの負の制御因子であることが明らかとなった。 2.新規OsNINJA1相互作用タンパク質OsFHA1の解析 まず、酵母細胞内で確認されたOsNINJA1との相互作用を、植物細胞内でも再現できるかを、玉ねぎ上皮細胞を用いたBiFc法で検証した結果、相互作用が認められた。次に、既に作出済みのOsFHA1過剰発現体を用いた、JAによる根の伸長抑制作用を検証したところ、抑制がみられなかった。このことから、OsFHA1はJAシグナルの負の制御因子である可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初期に計画した実験計画はすべて遂行され、全ての実験において良好な成果を得ることができている。OsSRO1aに関しては、かなり順調に実験を実施することができ、次年度に実施予定だった実験も前倒しで遂行することができた。OsFHA1に関する研究は、予定通りに研究が進み、成果を得ることができている。以上の理由から、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
OsSRO1aに関しては、今年度は初期の計画以上の成果を得ることができたため、今後は、想定以上に得られた新たな知見をさらに発展させていく予定である。また、2020年度に予定していた論文の投稿を、2019年度に前倒して投稿できるように努力する。 OsFHA1に関しては、今年度は初期の計画通りに実験を遂行することができたので、今後も計画通りに実験を進め、2019年度中にはジャスモン酸シグナルに対するOsFHA1の大まかな役割を明確化し、2020年度には詳細な役割について解明していく予定である。
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Research Products
(4 results)