2019 Fiscal Year Research-status Report
Molecular basis of behavioral manipulation on anopheline infected with entomopathogenic fungus
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18K05668
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
相内 大吾 帯広畜産大学, 畜産学部, 助教 (50552783)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 昆虫寄生菌 / ハマダラカ / ベクターコントロール / 行動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ハマダラカの宿主探索行動や吸血行動などを抑制する、昆虫寄生菌の行動制御機構の分子基盤を明らかにすることを目的としている。自然界では、寄生者が宿主の行動を操作する行動制御という生物現象が知られている。これまでに申請者は、ハマダラカにおいて、昆虫寄生菌の感染により、感染症の媒介に必須である各種行動が制御されることを明らかにした。本研究課題では、昆虫寄生菌の異なる系統や培養方法を用いることで、この行動制御の発現を人為的にコントロールし、昆虫寄生菌の培養ろ液中に産出される代謝産物の比較解析と行動解析の組み合わせにより、行動制御関連因子および遺伝子を同定することを目指す。 前年度、培養濾液のSDS-PAGEで検出された18 kDaおよび16 kDaのB. bassiana 60-2特異的なタンパク質について、リコンビナントタンパク質を作成した。両タンパク質コード領域のcDNAから、それぞれ620bpおよび580bpの標的遺伝子を特定し、T7プロモーター配列を含むプラスミドベクター(pT7 Blue)にこれらのPCR産物をTAクローニングした。さらに、標的遺伝子領域を制限酵素処理により切り出し、発現ベクターのpRSET-Cに組み込んだ。これを大腸菌 BL21 Star (DE3)株に形質転換し、PCRにより両遺伝子の発現を確認した。 一方、B. bassiana 60-2の培養濾液をインジェクションしたA. stephensiの吸血行動率と吸血量、産卵数を評価したところ、インジェクション直後の個体で産卵数が23%減少し、培養濾液中に産卵に影響を与える因子が含まれることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度、培養濾液のSDS-PAGEで検出された18 kDaおよび16 kDaのB. bassiana 60-2特異的なタンパク質について、リコンビナントタンパク質を作成した。両タンパク質コード領域のcDNAから、それぞれ620bpおよび580bpの標的遺伝子を特定し、T7プロモーター配列を含むプラスミドベクター(pT7 Blue)にこれらのPCR産物をTAクローニングした。さらに、標的遺伝子領域を制限酵素処理により切り出し、発現ベクターのpRSET-Cに組み込んだ。これを大腸菌 BL21 Star (DE3)株に形質転換し、PCRにより両遺伝子の発現を確認した。 一方、B. bassiana 60-2の培養濾液をインジェクションしたA. stephensiの吸血行動率と吸血量、産卵数を評価したところ、インジェクション直後の個体で産卵数が23%減少し、培養濾液中に産卵に影響を与える因子が含まれることも明らかとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度、クローニングされた2種類のタンパク質について、ハマダラカへのインジェクションによる行動への影響を評価する。また、低病原性株との比較による発現解析を進める。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、残額が発生したため翌年に繰り越した。
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