2020 Fiscal Year Annual Research Report
A study of the evolution of the tritrophic interaction between a parasitoid wasp, its host beetle and their common predatory ants
Project/Area Number |
18K05679
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
西村 知良 日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (30548417)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 寄生行動 / 生涯産卵数 / 生理学的コスト / 時間的コスト / ベイトトラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では「キアシアリガタバチ(以下ハチ)が寄主ヒメマルカツオブシムシ幼虫(以下寄主)に寄生する理由はハチ自身がアリへの防御として寄主の長毛を利用するため」を仮説とし、その検証のために4分野の研究手法「しくみ:化学生態学」・「行動の適応価:行動生態学」・「寄生の経緯:生活史戦略」・「ハチの系統進化:生物地理」を用いている。本年度の計画実施の成果は以下である。 「しくみ:化学生態学」ハチが寄主を探す手掛かりとする寄主由来の誘引物質の特定を目指した。実験室で寄主の糞や脱皮殻に対するハチの行動を定性的に観察すると、明らかにそれらに誘引された。そこでまず誘引物質の候補として寄主の糞を選んだ。寄主を大量飼育して得た糞を誘引源として野外(大学構内)でハチの捕獲試験を行った。罠は約5gの糞を入れたつるし下げ型ピットフォールトラップ(直径約7cm深さ約15cm)を15個用意した。2020年8月下旬の約1週間、野外に設置した。その結果1㎜前後の甲虫、コバチなどの微小な昆虫が十数個体捕獲できたものの目的のハチは捕獲できなかった。現在研究室で継代飼育しているハチは以前7~8月に大学構内で捕獲したので、生息するはずである。捕獲できなかった理由は、ベイトの量や、試験時期とハチの出現時期のずれの可能性がある。今後実験条件等の改善の余地がある。 「行動の適応価」前年度、産卵前に寄主の有害な槍状毛を抜く行動(毛抜き行動)に注目し産卵数を指標に毛抜き行動のコストを調べたが有意な結果が得られなかったため、今年度は、産卵を連続で行った成虫の寿命期間を指標に同様にコストを調べた。するとハチは一定条件で、約6頭の寄主に計16個産卵した期間が17.3日間だったが、人為的に毛を抜いた寄主を用いた条件では、約7頭の寄主に計17個産卵した期間が19.9日間と有意に長かった。この行動における時間のコストを検出した。
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