2021 Fiscal Year Annual Research Report
Clarification of the complex host plant utilization of Asphondylia species (Diptera: Cecidomyiidae) and verification of the relationship between Asphondylia and its symbiont fungi
Project/Area Number |
18K05682
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
上地 奈美 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (40507597)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 厚子 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 植物防疫研究部門, 上級研究員 (10450313)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゴール形成性タマバエ / 分布 / 寄主植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゴール形成性昆虫は、形成したゴールが寄主植物上に長くとどまり、かつ、一般的に単食、狭食性であるため、形成者の同定が比較的容易である。日本では、現在、約734種類のゴールが88植物科に確認されており、うち、122種のタマバエが同定されている。これまで、ゴール形成性タマバエ類の分布は北海道、青森、和歌山、鹿児島、沖縄県等でまとめられている。福岡県は散発的な報告に加え、タマバエ研究に長年取り組んでいる湯川名誉教授や学生らによる採集記録が蓄積されているため、今回、それらを併せてとりまとめた。 結果:福岡県の23市町の93地点で、53科87属131植物種に、タマバエによって形成されるゴールが記録され、計172種のタマバエが確認された。そのうち、2種は日本からの新記録であり、3植物種は新寄主として記録された。ゴールの種類数は、ブナ科で最多で、次いでキク科、マメ科、エゴノキ科、バラ科となった。 一方、植物側から見ると、ゴールが形成される植物の種数はキク科で最も多く、次にブナ科、マメ科、ブドウ科、バラ科が続いた。加えて、クスノキ科、モチノキか、モクセイ科といった南西諸島で豊富なグループでも、複数のゴールが確認された。計60種のタマバエが種レベルで同定され、34種が属レベルで記録された。種数は、Asphondylia属が最多で、Contarinia、Rhopalomyia、Schizomyiaが続いた。 ゴール相の比較では、鹿児島県、和歌山県との共通種数の割合は高く、寄主植物相は類似していると考えられた。一方、韓国のタマバエ相をとの比較では、韓国側からは共通率が大変低いのに対し、福岡側から見ると70%と高くなった。対馬のタマバエ相も、日本と共通する一方で、韓国とは低い結果が得られている。これらの結果から、日本のタマバエ類が、対馬を踏み石として北に向かって分布拡大した可能性が示唆された。
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