2019 Fiscal Year Research-status Report
イバラトミヨ雄物型局所個体群の遺伝的構造に着目した潜在的絶滅要因の解明
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18K05686
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
高田 啓介 信州大学, 理学部, 特任准教授 (90197096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 洋 国立研究開発法人水産研究・教育機構, 水産大学校, 准教授 (90399650)
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Project Period (FY) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | イバラトミヨ雄物型 / 絶滅確率 / 集団遺伝学的解析 / 再放流 |
Outline of Annual Research Achievements |
イバラトミヨ雄物型がどのような要因によって絶滅する可能性があるのかを解明するため、昨年度は絶滅確率が相対的に低いと予想される秋田県雄物川水系と相対的に高いと予想される山形県最上川水系の湧水群で、解析に適した個体群の選定と採集を行った。ところが、秋田県において集団遺伝学的解析に十分な個体数が採集されたのは2地点のみで、予定した3地点には届かなかった。そのため、秋田県内において新たに解析候補個体群の追加採集を試みた。その結果、予定していた区域で解析に適した個体群を新たに見つけることはできなかったが、それに代わる生息区域で3個体群を見出し、十分な解析個体数を得ることができた。 昨年度に引き続き、今年度採取した鰭は実験室に持ち帰り、年度末までに全ての個体からTotal DNAの抽出を完了するとともに、mtDNA解析を行った。その結果、山形県内の個体群間ではハプロタイプに多型は検出されなかった。また、核ゲノムの解析では中立的遺伝子マーカーに多型が得られず、集団構造は見られなかった。一方、秋田県内では、mtDNA解析により異なるハプロタイプが生息地間で検出され、集団構造が認められた。さらに核ゲノムも一部解析を開始している。 個体群の絶滅確率を推定するPVA(個体群存続性分析)のために、学術論文だけでなく、各種の保全団体の会報や報告、ネットの情報等の収集を継続的に行っている。過去の生息状況を把握するために、地元の高等学校の生物教員や生物部の生徒への聞き取り調査も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で最初の難関である十分な数の解析個体群を確認し、解析個体数を確保することがほぼ達成されている。また、絶滅確率を推定するために極めて重要な情報となる、遺伝的な多型の検出にmtDNAと核DNAの両方で得られ始めているためである。特に、mtDNAでは山形では多型性は認められなかったが、秋田では多型が検出され、個体群間で集団構造の相違が認められた。 個体群の絶滅確率を推定するPVA(個体群存続性分析)のための文献情報や聴き取り調査も開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初本研究で調査デザインに合致する個体群セットのうち1個体群がどうしても予定していた区域で見つけることができず、それに代わる別の区域で新たな3個体群のセットを確保できた段階にある。しかし、今回新たな個体群セットの生息域は、当初計画した調査デザインとは、事前に得た遺伝的特徴、流域のサイズや水系の連絡状態が異なっており、当初計画した区域において最終年度ではあるが次年度に再度解析に適した個体群を探査することを計画している。 これまでに採集した標本の内、核DNA解析が一部未解析である秋田県の標本について解析を完了する。さらにこれまでに得られているmDNAの解析結果や核DNA解析結果をもとに系統解析等を行い両県の遺伝的構造を明らかにする。 遺伝的解析結果と文献等で収集された生態学的情報を集積し、個体群の絶滅確率を推定するPVA(個体群存続性分析)を行う。遺伝学的解析ではイバラトミヨ雄物型の系統進化学的理解の進展に、また、個体群存続性分析では同種の保全策立案に寄与したい。
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Causes of Carryover |
次年度に追加的に計画している、秋田県内での調査、および、今年度未解析の個体と次年度新たに採集する個体のRAD-seq解析(遺伝子解析)を外部に発注するために使用を予定している。
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[Journal Article] A key metabolic gene for recurrent freshwater colonization and radiation in fishes2019
Author(s)
Ishikawa Asano, Kabeya Naoki, Ikeya Koki, Kakioka Ryo, Cech Jennifer N., Osada Naoki, Leal Miguel C., Inoue Jun, Kume Manabu, Toyoda Atsushi, Tezuka Ayumi, Nagano Atsushi J., Yamasaki Yo Y., Suzuki Yuto, Kokita Tomoyuki, Takahashi Hiroshi et al.
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Journal Title
Science
Volume: 364
Pages: 886~889
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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